Opening impressionsはチェスの様々なオープニング（序盤定跡）について私の私見を含めて、簡単に網羅解説していこうというシリーズです。
シシリアン モーラ ギャンビット 1.e4 c5 2.d4 cxd4 3.c3
Morra Gambit
スミスモラギャンビット（Smith–Morra Gambit）とも呼ばれる。モーラギャンビットは白がいきなりd4と突き捨て、さらにc3と突き捨ててナイトの展開を図るという、これぞギャンビットという感じの変化です。以前アラピンの回でも触れたように、「ほぼ成立している」ギャンビットであり、黒がかなり気を付けなければならない変化です。
クイーンの場所が危険
私が実戦での経験上も感じていますが、この変化では黒のクイーンの居場所に困ります。通常シシリアンではc7の地点がクイーンにとってよいマスのはずですが、モーラギャンビットではオープンファイルになっており、白のルックに狙われます。一方で、e7はビショップに使われており、eファイルは使えません。結論としては、下図のようにb8にうまくクイーンを配置できれば、黒満足だと思います。
手順が危険
もう一つのポイントは手順がなかなか難しい点です。間違えるとe5からいきなり潰れます。
3… dxc3
4.Nxc3 Nc6
5.Nf3 d6
6.Bc4
ここで6… Nf6としてしまうと
7.e5 dxe5 8.Qxd8 Nxd8 9.Nb5で白に主導権を握られます（Grandmaster repertoireより）。
正着はNb5を防ぐ
6… a6
7.0-0 Nf6
です。
アラピンに逃げるのも一興
以上のように危険なモーラギャンビットですが、いっそのことギャンビットをディクラインしてアラピンにしてしまうのも一興です。
つまり、
1.e4 c5 2.d4 cxd4 3.c3 Nf6
です。白はアラピンのNf6バリエーションにするしかないと思います。もちろん、白はこの変化に対しても準備をしているはずですが、ギャンビットを指したかったでしょうから出鼻をくじく効果もあるかと思います。
まとめ
モーラギャンビットは黒にとって危険なギャンビットで、いろいろと気を付けないといけないことも多いです。しかし、アラピンに逃げる変化もありますし、正確に対処すればそこまで怖くはないと思います。
少し黒に偏った記事になっているかもしれませんが、黒にとって困る部分は白にとってつけ入る部分ですので、白で指す人にも役に立ったのではないかと思います。
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