有名な将棋棋士・羽生善治さんがチェスにおいても強豪であることをご存知の方は多いと思います。私も何度か国内の大会でお見かけしたこともありますし、対戦したことも1度あります(勝ちました、自慢です)。
羽生さんを通じてチェスに興味を持った方も多いかもしれません。本記事では、羽生さんがこれまでに指したチェスゲームの中で、有名なものからあまり知られていないかもしれない棋譜まで、私の独断で選びました。
将棋棋士羽生善治とチェス
将棋棋士の羽生さんの趣味がチェスであることは皆さんご存知だと思いますが、ここで少しだけ説明します。
羽生さんは朝霞チェスクラブを運営していたジャックピノー氏(クレイジーチェス、ジャック・ピノーのダイナミックチェス入門の著者)からチェスを学んだという話です。チェスを覚えて数年で日本のトップレベルのチェスプレイヤーとなり、FIDEの国際称号であるFIDEマスターを取得。さらに上の称号であるインターナショナルマスター(IM)取得に必要なノーム(詳細は下記リンク参照)を取ったこともあります。
かつての日本チェス協会時代には国内のチェス大会に参加することもありました(現団体のNCS会員であるかは不明です)が、ここ5年ほどチェスの大会には参加していません。
GM相手の公式戦
Peter Wells vs Yoshiharu Habu
Essent Open (2005), Hoogeveen
おそらく羽生さんの最も有名なゲームです。Bxh2からの攻めは感動的です。ただし、ネット上の記事の中には定跡を変えたなどという記載があることがありますが、少なくとも私の知る限り、そのような事実はありません。本局では羽生さんから定跡から外れていますし、それによってやや不利になりましたが、白が踏み込み過ぎたために見事な反撃をくらったというのが、正確な見方です。
Predrag Nikolic vs Yoshiharu Habu
Bruxelles Rapid (2007) (rapid), Brussels
早指しのゲームですが、華麗なクイーンサクリファイスが炸裂します。サクリファイスをしてすぐに勝負が決まる試合ではなく、勇敢なロングターム(長期的視野の)サクリファイスでした。たしかこのゲームは中継を見ていたと記憶していますが、ハラハラしながら見ていました。
エキシビションマッチ
MVL vs Yoshiharu Habu
Exhibition event (2012)
現在では押しも押されもしないトッププレイヤーに成長したMaxime Vachier-Lagrave(MVL)とのエキシビジョンマッチです。試合自体は森内俊之さん、佐藤康光さんの3人での同時対局でMVLにはハンデがありました。ですが、キングズインディアンディフェンスからのカオスな局面は必見。どちらにも勝ちがあった激しいゲームでした。
このゲームに関するChessbaseの解説記事
Nigel Short vs Yoshiharu Habu
Check Mate Loungeと題したおしゃれイベントで行われたナイジェル・ショートとのゲームです。ナイジェル・ショートはカスパロフとの世界選手権戦に挑んだこともある世界的なプレイヤーです。このイベントは現地で観戦していました。羽生さん苦しそう、負けそうって思っていたのですが、うまく反撃を作り、ドローになりました。最後はキングVSキング+1ポーンまでやりきりましたが、観衆のための配慮だったと局後にショートが語っていました。そういや私もこの後ショートと居酒屋で飲んだんだった。すごくない?!
Yoshiharu Habu vs Garry Kasparov
Kasparov – Habu Tokyo Exhibition (2014) (exhibition), Tokyo
元世界チャンピオンで史上最強の呼び声もあるカスパロフの来日の記念対局として、白黒交互に2戦行われたこの試合、特にカスパロフの黒番が話題になりました。黒の32手目、手を繰り返してドローにするのかと思いきや、ポーン形を崩して勝ちにきたカスパロフ。いやぁ、引退しても強いっすね。この記事で唯一の羽生さん負けゲームです。また、このイベントを扱ったNHKの番組を見て将棋棋士の青嶋未来さんもチェスを始めました。彼は既に日本のトッププレイヤーになっていますし、そういった意味でも重要なゲームかもしれません。
まとめ
今回は将棋棋士の羽生善治さんのチェスゲームを紹介しました。将棋棋士らしい激しいゲームから、ショートやカスパロフとの試合のようにチェスらしい局面まで楽しめたのではないでしょうか。ここ5年くらいチェスから遠ざかっている羽生さんですが、また活躍を見せてくれることを期待しています。
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