チェス初心者が知っておくべき異名付き名局5選

 チェスを指すならば、教養と言いますか、知っておいた方がよい名局というものがあります。実際、有名なゲームというのは何百とあると思うのですが、その中でも特別な名前が付けられたゲームは数少ないです。今回紹介するのはこのような数少ない名局になります。

 友達と話していて、「ああ、これはimmortalの最後のメイトの形だね」とか言えたらかっこいいですよね!?そんなことに興味がなくてもどのゲームも非常に面白い内容の試合ばかりです。今回は棋譜が並べられる外部のサイトにリンクを貼っています。ぜひ並べながら味わってください。

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Adolf Anderssen (アドルフ・アンデルセン)

 19世紀後半のチェスマスター。当時は正式の世界チャンピオン戦がなかったのですが、その実力で世界一とみなされていました。アンデルセンの有名棋譜と言えば、”immortal”と”evergreen”です。私個人は19世紀のチェスは理不尽な印象を受けて、好きになれないことが多いのですが、”evergreen”は好きです。黒にimprovementがないか一人延々考察していたことがあります。

Immortal (不滅)

Anderssen–Kieseritzky, London, 1851

ルーク2つをサクリファイスして相手キングをメイトにする

Evergreen(常緑)

Adolf Anderssen – Jean Dufresne, Berlin, 1852

Evergreen “常緑”は、日本語的には「色褪せない」と呼んだ方がよいでしょうか。このゲームやモーフィーの影響で、エバンスギャンビットを指さないのに勉強していた時期が僕にもありました。

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Paul Morphy (ポール・モーフィー)

 ポール・モーフィーは19世紀半ばのアメリカ合衆国のチェスプレイヤー。彼がチェス界で本格的な活動していたのはほんの数年に過ぎませんが、その間にヨーロッパの主要なチェスプレイヤーすべてを打ち負かし、世界一という評価を受けていました。私見では藤原佐為(ヒカルの碁)のチェス版をやるならモーフィーしかいないと思っていますが、どう思いますか?フィッシャーと同じく、チェスから退いてからはファンからの誘いにも関わらず、チェスのトーナメントに復帰することはありませんでした。

Opera Game (オペラ座のゲーム)

Paul Morphy – Duke Karl / Count Isouard, Paris, 1858

 ”Opera Game”はパリのオペラ座で指されたと言われているゲームです(違うという話もあります)。モーフィーの対戦相手はチェスのトッププレイヤーではありませんでしたし、二人による相談チェスであったそうです。しかし、たった17手の間の無駄のない流れるようなピースの動きと鮮やかなメイトアタックは19世紀当時の粗野な印象のチェスとは一線を画すものです。

Bobby Fischer (ボビーフィッシャー)

 言わずと知れた超有名な世界チャンピオン。冷戦下の世界においてソ連1強時代のチェス界をたった一人でねじ伏せた。後にユーゴスラビアでチェスのマッチを行ったことが経済制裁違反であるとして起訴され、2004年、滞在先の日本で拘束される。その後亡命先のアイスランドで2008年に死去するが、日本での拘束生活が彼の寿命を縮めたかもしれない。当時自分に出来たことはなかったのか、今でもそんなことを考えさせられます。

Game of the Century (世紀のゲーム)

Donald Byrne vs Robert James Fischer, New York, 1956

 異名はいわゆる「世紀の一戦」みたいな呼び方のチェスゲーム版です。このゲームは弱冠13歳のフィッシャーが当時のアメリカを代表するマスター相手にクイーンを捨て、残りのピースで白キングをメイトにします。普通に見かけるクイーンサクリファイスと異なり、勝負が決まるまで長い手順が続くような難解なサクリファイスです。新たな才能の登場を予感させた一局。

Nigel Short

Nigel Shortはここで紹介するほかのチェスプレイヤーとは異なり、現役のプレイヤーで、日本にも訪れたことがあります。世界チャンピオンではありませんが、挑戦者としてKasparovと世界戦を戦ったこともあります。とはいえ、ここで紹介した他のチェスプレイヤーに比べると知名度で劣ることは否めません。しかし、紹介するゲームの内容は非常に魅力的です。

The King March‎ (キングの行進)

Nigel Short vs Jan Timman, Interpolis 15th, 1991

私が最初に聞いた異名は”Sadistic King’s March”で、こちらの方が魅力的な名前ですが、一般的な呼び名ではないようです。King Marchという呼び方は必ずしもこのゲームのことを指す名前ではなく、似たようなゲーム、手順の総称のようです。しかし、King Marchと言えば、やはり「これ」でしょう!

まとめ

他にもいくつか異名付きがある気がしますが、このあたりが代表的かと思います。正直チェス好きなら常識ですので、知らなかった人は反省してこれを機会に記憶に刻みましょう。

棋譜並べに興味があるという方であれば、日本語の本ではチェストランス出版の本があります。

著:アーヴィング・チェルネフ, 翻訳:水野 優
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また、洋書でも大丈夫ということであれば、下記の本がよいかなと思います。量は膨大ですけどね。

著:So, Wesley, 著:Adams, Michael, 著:Burgess, Graham, 著:Nunn, John, 著:Emms, John, はしがき:Anand, Vishy
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