Opening impressionsはチェスの様々なオープニング(序盤定跡)について私の私見を含めて、簡単に網羅解説していこうというシリーズです。
センターゲーム / Center Game
1. e4 e5 2.d4
初手1e4 d5のスカンジナビアンディフェンスの別名はセンターカウンターですが、1. e4 e5 2. d4と白からdポーンを突く変化をセンターゲームと呼びます。そう聞くとスカンジナビアンの1手得になりそうですが、初手でe4を突いている分、そんな簡単にはいきません。
当然、黒はNc6で白クイーンを攻撃し、テンポを稼ぎます。白はQe3と避け、Bd2からロングキャスリングするのがメインラインです。e3と避けるのはe4のポーンに守りを付けると共に、Bc5を防ぐ、dファイルをルークに明け渡す狙いがあります。また、キングサイドのポーンを突くサポートにもなります。
黒がおとなしく対応すると、白がキングサイドのポーンを突いてあっという間に黒が悪くなります。黒はキャスリングを急いだ後にRe8としてe4へのプレッシャーを掛けると共にd5のポーンブレイクを狙います。
上図のような局面を築くことができれば黒十分ですが、1手でも無駄な手を指してしまうと一気に白が良くなってしまう可能性もあり、黒としては慎重に指す必要があります。近年ではイアン・ニポーニシが早指しなどで採用しています。
ダニッシュギャンビット / Danish Gambit
1.e4 e5 2.d4 exd4 3. c3
センターゲームの派生ギャンビットがダニッシュギャンビットです。c3としてポーンを捨てるギャンビットはシシリアンのスミスモラ、同じe4e5系のエバンスギャンビットなどが知られています。一見、dxc3と取った際にNxc3と手順よく駒を展開することが狙いのように思えますが、dxc3にBc4と駒を展開し、さらにポーンを捨てる手がメインラインです。
b2ポーンを取ってしまうと、強力なツービショップに狙われるため、黒としては取りたくないのですが、指し手も難しいです。
メインラインの一つは、かなりトリッキーですが、b2のポーンを取ってエンドゲームまで持ち込みます。
1.e4 e5 2. d4 cxd4 3.c3 dxc3 4.Bc4 cxb2 5.Bxb2 d5!
e4e5系でよく見るこのd5ブレイクがここでも効いてきます。まず1ポーン返しています。
6.Bxd5 Nf6
一見ブランダーに見えるこの手が定跡手です。強力なd5のビショップを攻撃していますが、ディカバードアタックがあります。
7.Bxf7+ Kxf7 8.Qxd8
8… Bb4+
黒からディスカバードアタックでクイーンを取り返します。
9.Qd2
ピースダウンにならないためにこの手も重要です。
チェスコムで学ぶ
センターゲームとダニッシュギャンビットの解説をしているレッスン
ギャンビット系の定跡に対する対応について解説しているレッスンのダニッシュギャンビット版です。
まとめ
センターゲームはスカンジナビアンに似ているようで、白がe4の弱点を抱えているため、黒が序盤から主導権を握っていけます。ただし、主導権を取りにいかなければ悪くなるという意味合いでもあり、知らないと対応が難しい定跡でもあります。ダニッシュギャンビットも危険な変化ですし、白番でのサプライズウェポンとしてはありではないかと思います。
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