異名付き名局記事の反響がよかったので、調子に乗って似たような記事を書いちゃいます。今回はタクティクスの部分に魅力があるゲームを選びました。
ポール・モーフィー
Paul Morphy

オペラ・ゲームに続いての登場、みんな大好きモーフィーです。かの有名なフィッシャーをして「モーフィーが現代の定跡を学んだら、あらゆるプレイヤーを打ち負かすだろう」とまで言っています。どうです?藤原佐為っぽいでしょ?(しつこい)
Louis Paulsen vs Paul Morphy
モーフィーのクイーンサクリファイスから、ピースでのメイトアタック。モーフィーほどのプレイヤーならば全て見通していたのかもしれないが、この勇敢なサクリファイスに彼は12分しか持ち時間を掛けていませんでした。
ウィリアム・シュタイニッツ
Wilhelm Steinitz

現在のように世界チャンピオンを決めるマッチが行われるようになったのはそれほど昔のことではありません。1886年にシュタイニッツとZukertortのマッチ(1対1で何試合か戦って勝敗を決める形式の試合。将棋のタイトル戦と同様)に勝ったシュタイニッツが公式の初代世界チャンピオンです。近代チェスの創始者とも目されており、チェスというのは局面を評価し、それに基づいてプラン(どのように指し進めていくか)を決めて指すものだと提唱した人であると言われています。
Wilhelm Steinitz vs Curt von Bardeleben
この時シュタイニッツは御年59歳。衰えぬ力を見せつけた一局です。見どころは最後の数手。どーぞ、どーぞ、どーぞ(ダチョウ俱楽部風)。
エマニュエル・ラスカー
Emanuel Lasker

シュタイニッツとのマッチに勝って、2代世界チャンピオンについたのがラスカーです。世界チャンピオン在位の最長記録を持つ人物でもあります。その棋風は実戦派とも目され、時に心理戦も駆使した戦いぶりで知られます。
Emanuel Lasker vs Johann Hermann Bauer
白マスビショップも黒マスビショップもさようなら。そうあの手のタクティクスの原型です。
Carlos Torre Repetto vs Emanuel Lasker
なんと、実はラスカーの負けゲームです。風車と言われるタクティクスをあなたは知っていますか?タクティクスが決まってもすぐにはあきらめないところはラスカーらしい試合とも言えます。
アキバ・ルビンシュタイン
Akiba Rubinstein

シュタイニッツの理論のもっとも忠実な実践者と言われるルビンシュタイン。数々のオープニングに名前を残す、20世紀初頭の偉大なチェスプレイヤーです。2代世界チャンピオンのラスカーとの世界戦は第一次世界大戦の勃発により実現しませんでしたが、実現していたら勝っていただろうと言われる実力者でした。
Georg Rotlewi vs Akiba Rubinstein
Rubinstein’s immortalとも呼ばれるRubinsteinの名局。チェスを勉強した人なら一度は見たことがあるはず。一見カオスに見えても、なんとなく理路整然としている気がするのもルビンシュタインっぽいタクティクスな気がする。
フランク・マーシャル
Frank Marshall

ルイ・ロペスの黒にとって有力な変化であるマーシャルギャンビットに名前を残すアメリカのマスターです。楽しいゲーム指すけど、本当の世界のトップにはちょっと及ばないよね、というのが私の印象です。
Stefan Levitsky vs Frank Marshall
中盤以降色々わちゃわちゃするけど、このゲームの醍醐味は最後の一手です。最後の一手を見て観客からコインが投げ込まれたらしい。
まとめ
今回はゲーム全体というよりもその中のタクティクスの魅力にターゲットを絞った選出をしてみましたが、いかがだったでしょうか。どこかで見たことありましたか?ないようでしたら、まだまだチェスの魅力に触れられていません。楽しいチェスがあなたを待っているはずです。
棋譜並べに興味があるという方であれば、日本語の本ではチェストランス出版の本があります。
また、洋書でも大丈夫ということであれば、下記の本がよいかなと思います。量は膨大ですけどね。
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