白番でe4を指すと黒から様々な手を指されると思います。黒の手は基本的に3つのパターンに分かれます。そのパターンごとに分類し、白としての考え方を簡単に書きましたので、参考にして実戦経験を積んでみてください。
以下の説明を理解するには序盤の基本の記事、特に「センターをめぐる攻防」を読んでいただけるといいかと思います。
白のd4をけん制
白の次の狙いはd4なので、それを防ごうとする狙いの定跡です。d4はクイーンで守られているので、基本的にピースで防ぐことができず、ポーンを突くことになります。つまり、e5またはc5です。
1.e4 e5
まさにチェスの基本というべき変化です。
白はひとまずNf3としてe5を狙うのがセオリー。
メインラインとなるのは黒のNc6に対してBb5とプレッシャーをかけて、c3, d4とセンターの形成を志向するルイロペス
d4からピースをセンターに展開するスコッチ、Nf3をせずにf4としてe5を取り除こうとするキングズギャンビットなども序盤に典型のロジックがあります。
e4に反撃を受けやすいので注意。
シシリアン 1.e4 c5
c5としてd4をけん制するのがシシリアンです。c5はビショップの展開が遅れる手なので、Nf3からd4としてピースをセンターに展開するオープンシシリアンがメインラインになります。展開の差を活かして素早く攻めていきましょう。
c3、d4としてセンターを支えるアラピンも比較的メジャーですが、基本的にはe5と突き越してスペースアドバンテージを主張する展開になります。
d4は許すけどd5で反撃
d4は許すけれども、すぐにd5と反撃することで白にセンターの支配を許さない定跡です。二手目でd5を突くので、それをサポートするc6またはe6が初手になります。
フレンチ 1.e4 e6 2.d4 d5
白はe5としてすぐにスペースを取るか、Nc3やNd2と守る手がメインになります。カロカンと異なり黒からe4を取ってくる変化はメジャーではない。
白は結局e5と突いてクローズな展開になることが多い。
黒がd4やe5のポーンをc5、f6と狙ってくるので、ポーンやピースでセンターを守りつつ黒のキングサイドを狙う。
黒からのカウンターに注意しましょう。
カロカン 1.e4 c6 2.d4 d5
こちらもe5としてスペースを取るか、Nc3やNd2と守る手がメインになります。f5にビショップを展開するマスを作るdxe4と取るのがメインライン。
フレンチと違い、白マスビショップが閉じ込められていないものの、c6が展開の手になっていない分、展開に遅れが生じています。また、白マスビショップ以外の駒展開も思いの外大変です。駒交換をなるべく避け、黒を困らせましょう。
初手からe4をいじめる
もういっそのこと初手からe4狙えばよくない？という変化です。ピースで狙うアレキンとポーンで狙うスカンジナビアンがあります。
アレキン 1.e4 Nf6 2.e5 Nd5 3.d4
いきなりポーンを狙われているので、e5と突かされます。突かずに守ってしまうと他の定跡のパッシブな変化にトランスポーズされてしまいそう。黒はd6と突いて白のセンターポーンを崩しに来ます。
白のポーンの存在は黒の展開を邪魔しています。ポーンを崩されないように気をつけつつ、黒を抑え込みましょう。
スカンジナビアン 1.e4 d5
いきなりポーンをぶつけられたので、ピースで狙うアレキンと異なり、ポーンを動かさざるを得ません。メインはexd5としてNc3からクイーンを追い払います。
この手得（白はNc3としてピースを展開しているのに対し、黒はクイーンを2回動かしている）とセンターへの影響力の強さ（白はd4を突けるが、黒はe5はなかなか突けない）を活かしてアドバンテージを主張することになるかと思います。
正直、この手で黒問題ないとなると白はe4指せなくなってしまいます。
まとめ
本記事では初手e4について最初の数手程度の手順の意味についてまとめました。一方で、一般論で同じような考えでは初手d4をまとめられないんですよね。これは初手e4定跡が早い手数からセンター周辺の主導権争いをしているのに対し、初手d4はゆっくりと組み上げる定跡が多いからかと思います。このため、初心者・初級者向けの白番としてe4を推奨しました。
慣れてきたり、e4の変化が性に合わないと思いだしたら、d4など他の初手を試してみてもいいでしょう。
また、チェスに慣れてきて、もう少し定跡について知りたいと思った方は、Opening impressionsの記事を参照していください。
コメント