以前、クイーンズギャンビットのベス・ハーモンと世界チャンピオンのボビーフィッシャーとの共通点について説明した記事を書きました。
チェスプレイヤーとしてモデルになっているのはフィッシャーだと思いますが、実は「女性プレイヤー」としてモデルになっていると考えられている人物がいるそうです。今回はその人について記事にしてみました。参考にした元記事はChess.comの以下の記事です。
ベス・ハーモンのモデルとなった女性プレイヤー?
Netflixのチェスをモチーフにしたドラマ「クイーンズギャンビット」にはWalter Tevisによる原作本があります。「クイーンズギャンビット」はフィクションですから、ベス・ハーモン自身に特定のモデルはおらず、何人かのモデルからインスピレーションを得て作られたキャラクターであると考えられます。ベス・ハーモンの天才的なチェスの才能はボビーフィッシャーとの共通点が見られますし、アルコールや薬への依存症自体は著者の Walter Tevis自身の経験だという話です。しかし、ベス・ハーモンのモデルというキャラクターを形成する上で大きな影響を与えただろうと考えられている女性プレイヤーがいます。
Diana Lanni
その女性がDiana Lanniです。
だれ?という感想だと思いますが、大丈夫です、私も知りませんでした。
Diana Lanniは1980年前後にアメリカ合衆国で2番目にレートの高い女性だったそうです。1982年のチェスオリンピアードに参加し、当時女子の世界チャンピオンだったNona Gaprindashviliと引き分けたことで話題になったようです。とはいえ、「2番目」にレートが高い女性がモデルなの?という疑問が湧くと思います。
実はこのDiana LanniはNew Yorkで活動しており、著者のWalter Tevisからも知られる存在だったからです。つまり、Walter Tevisの周辺で強い女子プレイヤーと言えば、Diana Lanniだったことが彼女がベス・ハーモンのモデルであると考えられている理由です。また、下記写真から分かるように、綺麗な女性だったということもあるでしょう。当時、女性のチェスプレイヤーは珍しく、目立つ存在であったと思われます。
Larry Kaufmanの恋人
このDiana Lanniですが、当時Larry Kaufmanと同棲していたようです。
いや、その人も知らんのだけど、という方も多いでしょう。Larry Kaufmanはアメリカのグランドマスターで、チェスのソフトウェアの開発に長年携わってきた人物として有名です。私のブログの中では、書評を書いた”The Kaufman Repertoire for Black and White“という白番黒番全部のレパートリー本の著者です。
私が参照したChess.comの元記事の中では、Larry Kaufmanをベルティックになぞらえています。印象的なのは、Kaufmanも劇中のベルティックと同様にチェスを一度諦めていることです。Kaufmanはその後チェスに復帰してグランドマスタータイトルを得ています。チェスを諦めたベルティックがいつかチェスに復帰してグランドマスターになる、なんて話があったら震えませんか?
まとめ
今回はクイーンズギャンビットのベス・ハーモンのモデルになったと思われる女性について紹介しました。Diana LanniもLarry Kaufmanも日本人に馴染みのある人ではないので、ピンとこないかもしれません。その分、国内ではまだ記事として扱われていないので、価値があるかなと思いました。
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