クイーンズギャンビットの原作本を読んでみた【Netflix】

昨年(2020年)に世界中で大ヒットしたNetflixのドラマ「クイーンズギャンビット」の原作本の翻訳が2021年の6月に発売されました。私も発売日直後に手に入れ、読んでみました。ドラマと原作の違いがあるのか?ドラマを見ているだけでは分からなかったことがあるかなど、皆さんが気になる点もあるのではないでしょうか。

本記事では私が気が付いたことをまとめてみました。当然ネタバレを多く含みますので、注意してください

Netflix 「クイーンズギャンビット」
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基本的に原作に忠実

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私は個人的に非常に意外だったのですが、Netflixのドラマ版の「クイーンズギャンビット」はほぼ原作に忠実に作られています。現代でうけるようにとか、話を盛り上げるために改変した部分が多くあるのではないかと思っていたのですが、ほぼそのままと言ってもいいほどです。最後にボルゴフと戦った際にベニー達が電話をしてきて助けてくれたシーンもそのままです。

あのシーンはいかにもハリウッド的というかむしろ少年ジャンプ的な展開で、演出なのかなと思っていましたが、原作にそのままありました。

また、こちらは意外ではなかったですが、最後のボルゴフとの対戦がアルビンカウンターギャンビットでした。原作でも特に驚きもなくベスが対応していて、そちらは意外でした。私がベスだったらびっくりですけどね。

このように、ドラマ版と原作にはあまり違いがないのですが、いくつかの相違点があることや、ドラマとは違い小説版では心理描写があることなどから、新たに気付かされたこともあります。そういった点に絞って紹介しようかと思います。

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いくつかの設定の違い

まずは登場人物のちょっとした設定の違いや相違点についてです。

原作での両親の設定は弱い

ドラマ版では、ベスの母親は博士号を持つ学者(?)であり、父親も知的水準が高い人のように見えました。そのことがベスの才能を連想させるわけですが、原作本では母親の素性についての記述はなく、亡くなった事故についてもベスが同乗していたわけではなく、純粋に事故だったようです。

おそらく、製作スタッフはこの設定が弱いと感じ、改変を加えたのではないかと思います。

マイクとマットは出てこない

最初の大会から登場人物として出てきていた双子の兄弟、マイクとマットは原作では出てきません。まぁ、そんなに重要な違いではないかな、と言ったら彼らに失礼でしょうか、、、、

個人的に重要だと感じる相違点、気が付いたこと

タウンズについて

タウンズについては関心を持っている人も多いのではないでしょうか。実は原作ではタウンズはそこまで目立つ存在ではありません。ドラマ版では最後にモスクワに現れましたが、原作では出てきません。原作の中でもベスはタウンズに恋心を抱いていますが、実際に会うのはラスベガスの全米オープンが最後でした。

それよりも私的には驚愕の違いがありました。

ガチムチの同室人はいない

ラスベガスの全米オープンにおいてベスがタウンズに取材を受けるところは原作もドラマ版も同じです。しかし、ドラマ版では少しいい雰囲気になったと思ったところで同室のロジャーが戻ってきて風向きが変わりました。

私はここでタウンズがゲイであることにベスが気が付いたために、恋心を胸にしまったのだと解釈しました。ネットを見る限り、同じように考えた人が多かったようです。しかし、原作には同室のガチムチロジャーは出てきません。つまり、原作ではタウンズがゲイであると考える理由はありません

私はこの相違点から、逆にドラマ版ではタウンズがゲイであるという設定だと確信しました。製作スタッフは原作のタウンズの設定が弱いと感じ、恋心を抱いていながらアプローチしない理由を付け加えたように思います。

タウンズの名前を探した理由

もう一つ、タウンズに関連して疑問だったことがありました。タウンズの部屋から戻ってきたベスがトーナメントブックからタウンズの名前を探すシーンです。このことについては原作でははっきりと理由が書いてありました。

タウンズの部屋で取材を受ける会話の中で、ベスはタウンズのファーストネームを聞きますが、タウンズは答えてくれませんでした。だからベスはトーナメントブックで名前を確認しようとしたわけです。そうは言っても、ファーストネームについてはイニシャルだけで、結局分からないんですけどね。

ドラマ版では該当する会話はなかったと思うのですが、名前を確認するシーンだけ残したのかは疑問です。あるいは会話の部分が編集の過程で消されたのかもしれません。

ベスの苦悩

原作を読む一番の意義はドラマ版にはないベスの葛藤が心理描写として描かれていることだと思います。ドラマ版では心理描写はないので、ベスのセリフや表情から心理を読み取るしかないのですが、小説ではベスがどのように考えていたのかを窺うことができます。

少年にいら立つベス

エピソード4のメキシコでの大会でベスが13歳の少年と対局したことを覚えているでしょうか。ドラマ版でもベスは若い相手に動揺しているようでしたが、小説版では詳細な思いについても語ってくれます。

自分には才能があったのにチェスを本格的に始めるのが遅かったことへの後悔や19歳という年齢が神童と言われるには年を取ってしまったという焦りなどが、若い相手と向き合うことで認識されたようです。

脳細胞が破壊される!?

ドラマ版のベスは薬やアルコール依存症に陥り、自分から抜け出すことができずにいる姿が描かれていますが、小説版ではさらにそれらが自分の才能に悪影響を及ぼす(あるいは既に及ぼしている)ことを恐れる感情が描かれています。その不安が次の項目にもつながっています。

ジョリーンは訪ねてこない

私が個人的に最もショックであった相違点がこれです。ジョリーンは訪ねてきません

いえ、助けてはくれるのです。ただ、ベスが自ら連絡を取りました。困ったときには自分から助けを求めた方がいいとは私も思いますが、助けを求められるのは強い人でしょう。

ただ、私がドラマを見ていて感じた違和感は解消されたかなと思いました。私の印象のベスは、薬やアルコールに依存してはいますが、常識的で強い人間です。そして、自分の力で道を切り開いていきます。そう、たとえ弱っている時でも。そう考えると、ジョリーンが訪ねてこない(ベスが自分で呼ぶ)方が、全体の話としてまとまっているように思いました。

まとめ

クイーンズギャンビットは基本的に原作に忠実に描かれており、ドラマを楽しめた人であれば小説版も楽しめると思います。ドラマでは描かれなかったベスの心理も明らかになっており、ファンの方はチェックしてみるとよいでしょう。

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