Opening impressionsはチェスの様々なオープニング(序盤定跡)について私の私見を含めて、簡単に網羅解説していこうというシリーズです。
ボゴインディアン ディフェンス
Bogo Indian Defense
1.d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 Bb4+
白がニムゾインディアンを避けてきた際に気にせずストレートにBb4をするのがボゴインディアンです。定跡名は20世紀初頭のロシアのチェスプレイヤー、Efim Bogoljubowにちなんでいます。
白はNc3としてしまってはニムゾインディアンに逆戻りですから、通常Bd2とビショップでチェックを防ぎます。逆に言えば、黒のプレイヤーもニムゾインディアンの準備をしておかなければなりません。3.Nc3に対してニムゾを指さない人もいるでしょうし。
白がニムゾインディアンを避けるNf3に対してはクイーンズインディアン、クイーンズギャンビットディクラインド、モダンべノニなど黒に他にも様々な可能性があります。ボゴインディアンはその中でも比較的パッシブで手堅い変化だと考えられています。
ボゴインディアンの特徴
チェックをどう受けるか
白がニムゾインディアンを望まないのであれば、Bd2またはNbd2とチェックを受けるでしょう。d2の位置はc3に比べてナイトの位置としてパッシブですし、ビショップの位置としてもよいとは言えません。このことが黒の主張点になります。
黒マス戦略
一方で、Bb4と出た以上、基本的にはこの黒マスビショップは交換になると考えられます。黒の戦略を考える上でこのことが重要になります。黒はd6, e5とポーンを黒マスに配置しながら白のセンターを攻撃するのが代表的なプランです。残った白マスビショップを活性化しつつ、黒マスはポーンで守ろうという戦略です。
1テンポロス
黒マスビショップを交換せずにBe7と戻るような変化も知られています。このような変化の場合には、黒はd5と突き、クイーンズギャンビットディクラインドのようなポーン構造で戦うことになります。Bb4+と出てBe7と戻っているわけですから1テンポ損していることには注意が必要です。
ボゴインディアンの定跡手順
4.Bd2
白がBd2と守ってきた場合にはb4のビショップが攻撃を受けているので、これに対処しなければいけません。Bxd2+と取ってしまうのが一番わかりやすく思えますが、これはメジャーなラインではなくQe7, c5, a5というようなビショップを守る手がメインです。奇異に見える手かもしれませんが、上記の特徴を考えると、変な位置にいるd2のビショップを維持することや黒マスにポーンを配置するという考え方と合致していると思います。
この中でも4… Qe7はNimzowitsch variationと呼ばれ最も指されています。
白は白マスビショップをフィアンケットするのが一般的ですが、油断すると間違えます。
5.g3 Nc6 6.Bg2 Bxd2 7. Qxd2?
自然に見えますが間違えです。
7… Ne4! 8. Qc2 Qb4+
白はKf1としてキャスリングの権利を失うか、1ポーンが落ちます。正着は7.Nbxd2です。白は配置として理想的なNc3をやはり実現できないわけです。
4.Nbd2
4.Nbd2は白がツービショップを取りに行く手で、より積極的に勝ちに行く手ではないかと思います。
白はツービショップを得たうえでセンターを開きにいきます。黒は黒マスにポーンを配置しつつビショップに優位なオープンな局面にならないように気を付ける必要があります。
4… d6 5. a3 Bxd2 6. Qxd2
ここも少し不自然に見えるクイーンで取ります。b4からBb2として長いa1-h8ダイアゴナルで黒マスビショップを使うのが白の戦略です。
チェスコムで学ぶ
まとめ
私自身黒でニムゾインディアンを指さないですし、白番ではニムゾインディアンを受け入れていたのでボゴインディアンはほとんど馴染みがない定跡でした。今回記事を書くために勉強したのですが、戦略が明確で面白いと思いました。
戦略的な力に自信があり、黒番は手堅くドローでもいいという方であれば検討しても面白い定跡だと思います。
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