エンドゲームの基本 ーChessMoodの流儀 2 ー

最近(2022年9月)、ChessMoodから”Endgame Roadmap“というChess.comのレート800-2000向けのエンドゲームコースがリリースされました。ChessMoodはチェスの教育向けコンテンツを配信している有料サイト(一部無料あり)で、私も登録しています。このエンドゲームコースは、いわゆるエンドゲームの規則を覚えるような内容ではなく、一般論としてのエンドゲームを解説しており、とても良い内容だと思います。

この記事ではその”Endgame Roadmap”の内容をダイジェスト版として解説します。当然ながらあくまでも抜粋なのできちんと理解したい人はChessMoodのレクチャーを受けてください。

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クイーンを作れ

まずはエンドゲームとは何かという話になります。細かな例外はともかくとして「ポーンをクイーンに昇格させる戦い」のことだと言ってもいいでしょう。ポーン以外のコマだけでメイトを目指すこともエンドゲームの1種と考えられていますが、例外的な内容としてもいいでしょう。

まず考えるべきことは

エンドゲームがポーンをクイーンに昇格させる戦いなのだとすれば、まず考えなければならないのはなんでしょうか?当然、パスポーンが止まるかどうかです。パスポーンを進めるだけで勝てるのであれば、他のことを考える必要はありません。エンドゲームはキングを動かせとか色々言いますが、これが一番重要です。判断基準としてはスクエアルールというものがあります。別記事で解説しています。

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パスポーンを活かせ

お互いにパスポーンを持っている場合にも、強いパスポーンを持っている方が有利になります。

アウトサイドパスポーン
Outside passed pawn

ポーンの数が同じでも、キングや他のポーンから遠い側にパスポーン(アウトサイドパスポーン)を持っている側が通常優位に立ちます。

相手キングはそのパスポーンを止めなければなりませんが、その間に逆サイドの相手のポーンが取れるためです。

h4のパスポーンがいるため、白勝勢

プロテクティドパスポーン
Protected passed pawn

ポーンによって守られているパスポーン(プロテクテッドパスポーン)を持っている側は優位になります。パスポーンをキングで守ることを考えなくていいからです。

上図の局面は、ポーンの数は同じで両者パスポーンを持っていますが、白キングはc5の黒ポーンを取ることを狙うだけで勝つことができます。

一番のポイントは、黒がf4のポーンを取ることができないからです。取った次の手でg6と突かれ、そのパスポーンに追いつけません。

コネクティドパスポーン
Connected passed pawn

コネクティドパスポーンはプロテクティドパスポーンの上位互換と言ってよいでしょう。

プロテクティドパスポーンと同じように、白はポーンをキングで守る必要がないので、黒ポーンを取りに行くだけで勝つことができます。

パスポーンを作れ

もし、局面上にパスポーンがいないのであれば、作る必要があります。駒得しているポジションであれば、ポーンを進めるだけでパスポーンが作れますが、お互いに駒の損得がない場合にもパスポーンは作ることができます。

ポーンマジョリティ
Pawn majority

同じポーンの数でも、キングサイド側とクイーンサイド側にあるポーンの数が白と黒で異なることがあります。これをポーンマジョリティ(少ない側はポーンマイノリティ)と呼びます。ポーンマジョリティ側はそのサイドではポーンが多いので、ポーンを突くだけで簡単にパスポーンを作れます。

図の局面では、白はキングサイド、黒はクイーンサイドでポーンマジョリティですが、白の方がポーンが進んでいるため、簡単にパスポーンを作れます。

非対称なポーン形

同じサイドでポーンの数が同じであっても、ポーンが存在しているファイル(列)がずれている場合があります。このような場合には相手ポーンがいないファイルでパスポーンが作れる可能性があります。

上図では、白はaファイル、黒はdファイルにそれぞれずれたポーンがあります。白のポーンの方が進んでいるため、a5から簡単にパスポーンが作れます。

ブレイクスルー

自分の側のポーンが進んでいる場合には、ポーンを犠牲にしてパスポーンを作ることができます。通常、相手にもパスポーンができることになりますが、自分のポーンの方がより早くクイーンができる局面であることがポイントです。

上図が最も有名なブレイクスルーの例だと思います。白黒共に同じ数のポーンが同じファイルに並んでいますが、白はb6とすることで、黒がどのように応じてもパスポーンを作ることができます。具体的な手順については(たぶん)また別の機会で扱います。

ピースを活用しろ

エンドゲームに限らず、ピースをうまく活用することはチェスで勝つうえで必須です。エンドゲームならではの考え方はあるでしょうか?

まずはキング以外のピースの役割を検討

エンドゲームにおいてキングは強い駒で、活用すべきだと言われます。エンドゲームでは相手ピースにチェックメイトされる可能性が減るからです。しかし、そう言っても、キングは他の駒に比べると機動力に欠けます。

例えば、ナイトやビショップを動かせば簡単に相手ポーンを取れる、相手キングの動きを制限できるなどの重要な役割が果たせるのであれば、キング以外のピースを動かすべきでしょう。特に、強制的に相手のポーンを取れる場合などが代表例でしょう。

上図では、白はビショップをg3からb8へと移動させることで簡単にポーンを取ることができます。これを1手遅らせてしまうと、Bd6と黒に守られてしまいます。

キングを活用

キングはエンドゲームにおいてとても強い駒です。少し考えるとわかりますが、ビショップやナイトは相手パスポーンを止めることができても、単独では取ることはできません。クイーン、ルーク、キングの3つの駒だけが、相手ポーンを止めつつ取ることができます。このため、安全性さえ確保されればキングは強力なポーンハンターになります。

タクティクスは忘れるな

メイトの可能性

エンドゲームではキングが安全、と言いがちですが、もちろんチェックメイトの可能性はあります。常に頭の片隅に入れておく必要があります。

白はキングがアクティブな位置におり、次にルークで黒キングを攻撃すればポーンを取れそうですが、、、

Re4でチェックメイトです。このように優勢だと思ってキングを相手陣地に進めてメイトを食らうのは割とあるあるです。

タクティクスは常に存在

チェスは99%タクティクスという格言がありますが、エンドゲームも例外ではありません。Endgame Tacticsなんていう本も結構有名です。考えてみれば当たり前のことなのですが、エンドゲームは駒数が減っているので、タクティクスは起こらないだろうと油断することがあります。

まとめ

本記事ではChessmoodのエンドゲームコースである”Endgame Roadmap“に基づいてエンドゲームの考え方の基本について解説しました。一部省略した項目もありますし、興味を持った方はぜひ実際にChessMoodに登録してみてください。

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