スクエア(正方形)ルール ーポーンエンディングの基本ー

序盤の基本に続いて、エンドゲームの基本としてポーンエンディングの基本をシリーズ化しようと思います。

エンドゲームというと、勉強対象の図面があり、その局面からどう勝つか、引き分けるかを議論する内容が多いかと思います。このシリーズではそこにもう少しストーリー性を持たせたいと画策しています。そのため、少しくどいと感じる内容になるかもしれません。

前回の「キングの機動性」に続いて今回のテーマはスクエアルールです。

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ポーンエンディングとは

敵味方ともキングとポーンしか残っていない局面のことを呼びます。

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1ポーン+キング VS キング

最も基本的なエンドゲームは白黒それぞれがキングを持ち、優勢な側が1ポーン持っている状態、ということには皆さん異存はないでしょう。では、その状況を思い浮かべてみてください。まず考えなければならないことはなんでしょうか?

不利な側
不利な側

そもそもポーン進めるだけで勝てるなら何も考えなくていいよね?

そのとおりです。ですので、まず考えなければならないのは不利なキングがポーンに追いつけるかどうかです。

スクエア(正方形)ルール

キングがポーンに追いつけるかどうかを判断するルールとして、スクエアルールというものがあります。相手のポーンと昇格するマスを結び、それを一辺として正方形を作った際に、自分の手番でその正方形の中にキングが入れればポーンに追いつけます。つまり、下の図のような状態です。

自分の手番で正方形に入るということは、この図で白番でも追いつけるということです。ここを間違えると一手余分にカウントしてしまうので気を付けて。

追いつく一歩手前を想像してみる

スクエアルールが言うところの「相手番で」正方形の中に入っているという条件は相手のポーンが常に先手であるという意味ですね。ちょっと不安になりませんか?念のため、ポーンにぎりぎり追いつく際の状況を見ておきましょう。

図の局面で白番ですので、次にポーンが昇格(プロモーション)して、(たぶん)クイーンになります。しかし、そのクイーンはすぐに黒キングに取られます。こう考えていくと、もし白側に他のピースが存在していると一気に話が変わってきます

このスクエアルールは他に駒が残っていないような単純な局面で使えるルールなので、気を付けてください。

キングの機動性再考

ここで、前回の「キングの機動性」のおさらいをしてみましょう。

上図が「キングの機動性」の回で見せた図です。キングがもともといるd4から、d8, h4, h8のどこに行くにも4手掛かることが分かります。

一方で、次の図はキングの位置をd4からd5に移動しています。こうすることで、黒キングとh8を頂点とした四角形は正方形から横長の長方形になります。

分かっている方には当たり前かもしれませんが、こうすることで、d8には3手で行けますが、h5, h8には4手掛かります。要するに、キングとたどり着きたいマスで長方形を作った際に、長辺の長さ(長い方の長さ)が、たどり着くのにかかる手数です。

これが正方形ルールの要因です。

長辺の長さがポーンが昇格する手数と同じ時にぎりぎり追いつけるわけです。ならば最も昇格地点からキングが遠くなるのは縦も横もポーンの手数と同じつまり正方形の時になります。

次に考えるべきことは?

さて、今回は1ポーンダウンの側が相手のポーンに追いつく条件について見てきました。では、次に考えなければならないことは何でしょうか?

有利な側
有利な側

相手キングに追いつかれたのはいいとしても、そのままポーンを取られたらドローで終わっちゃうよね?私のキングが守ってないと

その通りです。1ポーンダウン側が追いついた時点で、1ポーンアップ側がポーンを守れていないとそれで終わりです。つまり、次に考えるべきはキングが両方ともポーンの近くにいる場合です。

まとめ

さて、スクエアルールについてくどくどと考えてきましたが、どうでしたでしょうか?逆にわかりにくい?まぁ、そのあたりはご自身の感覚で採用不採用を決めてください。

大事なことは自分の知識に奥行きを持たせることです。今回の記事のように緩く関係づけられた項目を学ぶことで、エンドゲームの知識が浮き彫りになるのではないかと思います。

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