これまでの記事でも各論としてチェスの戦略について解説してきました。しかし、実際に実戦でどう考えるか、指すかということにつながっていないかもしれないと思うことがあります。そこで、本記事では特に初心者から初級者ぐらいの方向けに、チェスの戦略ってこんな感じなんだと分かってもらえるような記事を目指しました。
まず戦略って何さ?
これまでの他の記事でも書いてきましたが、戦略とは長期的な視点でのチェスの考え方のことです。初心者・初級者の方にとっては、駒を動かした、キャスリングした、その後どうするかということを教えてくれる指標だと思います。
そして、初心者・初級者の方が意識すべきことは二つあると思います。下記で解説します。
弱点を狙え
厳密な定義で言えば、この項目は戦略ではないかもしれません。しかし、初心者・初級者の方が最も意識すべきことはこれでしょう。チェスにおける弱点も主に二つあります。
チェックメイトが試合を終わらせる
一つ目の弱点は相手のキングです。有名な英国のグランドマスター、ナイジェル・ショートの言葉に
Modern chess is too concerned with things like pawn structure. Forget it, checkmate ends the game.
Nigel Short
というのがあります。現代チェスでは戦略的に正しい考え方などが議論されるが、結局は相手のキングをチェックメイトした方が勝ちだよ、というような意味合いです。
当然ですが、チェスは相手キングをチェックメイトすることが目的なわけですから、まず相手キングを攻めることができるか考えるべきです。
ただし、常に相手キングを攻撃可能なわけではありません。二つの条件があるかと思います。
相手キング前のポーンが崩れている場合には、味方のピースが攻撃する道筋が開いていることになります。また、キング近くのピースに関しては、特にナイトがいるかどうかが鍵になります(キングにとってはナイトが一番頼りになるディフェンダーです)。
基本はポーン
もう一つ、チェスにおいて弱点といえば「ポーン」です。他のピースは狙われれば逃げるという選択肢もあるのに対して、ポーンは機動力がないために守らなければならないことが多いです。結果、相手を守りに回らせることができます。
もちろん、全てのポーンが弱点であるわけではありませんが、局面を見て、狙いやすいと思うポーンを狙いましょう。初心者・初級者のうちはその程度の認識でいいのではないでしょうか。
どうしても狙いやすいポーンが分からないという場合には別記事で解説しているので、そちらを参照ください。
駒を使いこなせ
二つ目の戦略的なポイントは味方の駒を使いこなすことです。では、駒を使いこなすとはどういうことか?それは駒の動ける範囲を拡大することです。この方法も二つあります。
良い位置に移動する
一つ目はピースの位置を改善することです。配置によってピースの移動範囲は大きく異なります。ピースの移動範囲が広くなる位置にピースを移動させるのです。
上図のポジションであれば、白のa2のルーク、黒のa8のナイトの行き先が少なくなっています。Ra1やNb6としてピースの活用を図るのがよいアイデアになります。
ポーンを突く、交換する
ルークやビショップなどの射程の長い駒は、基本的には移動範囲が大きいはずですが、ポーンによってその射程を塞がれることがあります。ポーンを突いたり、交換したりすることによって、ピースの射程を広げることを目指します。
例えば上図のポジションであれば、白がd4として白マスビショップの行き先と、d1のルークの道筋を通すことがポイントになります。
まとめ
本記事では、まず難しいことは抜きにして、チェスの戦略で何を考えればいいかということを二つ解説しました。一つは相手の弱点を狙うこと、もう一つは駒を最大限に活用するということです。もちろん、これで十分というわけではないですが、まず手始めに考えるべきこととしてはこれでいいかと思います。
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