モチーフという考え方とは違いますが、特定の状況を利用したタクティクスが存在します。代表的な例がプロモーションで、ポーンがクイーンになるわけですから、それを実現するために駒を犠牲にすることなどができます。
プロモーション
Promotion
プロモーションはポーンが最上段まで移動するとポーンとキング以外のどの駒にもなれるというルールです。このプロモーションによってクイーンを作れるので、サクリファイスをして一時的に駒損しても大丈夫なため、タクティクスの素材になり得ます。
上のポジションでは、e6に強力なパスポーンがいますが、e7のビショップでブロックされています。このビショップをどかす方法はあるでしょうか?
1. Rd8+! Bxe7
ルークを犠牲にしてパスポーンを進められるようにします。
2.e7+ Kh8
3.e=Q#
アンダープロモーション
Underpromotion
プロモーションの中でも、クイーン以外の駒になることをアンダープロモーションと呼びます。基本的にはステイルメイトを避ける場合か、クイーンでは代用できないナイトにプロモーションする場合に使われます。タクティクスの題材としてはナイトフォークに絡めたものが多いです。
黒はナイトでパスポーンの昇格位置を守っていますが、逆にそれがヒントですね。
1.Qxf7+ Kxf7
2.d8=N+
バックランク
Back rank
バックランクは基本の戦術パターンでも紹介しましたが、バックランク自体はキングが1段目から逃げ道がない「状態」を呼ぶだけ(原義的には一段目を意味するだけですが)でタクティクスのモチーフではないかもしれません。しかし、キングがメイトにされやすい状況がタクティクスを生みます。
バックランクを利用したタクティクスは最もポピュラーなタクティクスと言ってよいと思います。
d8の位置はしっかりと守られており、一見バックランクメイトは生じないように見えますが。
1.Bxc6 Nxc6
bxc6でもRd8#です。
まだd8の位置は守られていますが、、、
2.Rd8+! Nxd8
3.Qe8#
このように複数のバックランクのマスを狙うタクティクスも頻出します。
まとめ
今回ですべての戦術モチーフを網羅しようという「チェス戦術大全」もいったん終了です。もしさらに気が付くことがあれば、追加していくつもりです。
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