キングがポーンの近くにいる場合  ーポーンエンディングの基本ー

 前回はキング+1ポーンVSキングの最も基本的な内容として、ポーンに追いつけるかどうかを扱いました。相手のポーンに追いつけるかどうかにはスクエアルールというものが適用され、その本質はキングの機動性にあることを説明しました。

今回は両者のキングがポーンの近くにいる場合を考えていきます。

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はじめに

前回に続いて確認ですが、単純にポーンに追いつけるかどうかの次に考えるべきことは何でしょうか。

優勢側
優勢側

追いつけなければ勝てるし、追いつかれてポーン取られるならドローなので、追いつかれているけれども自分のキングでポーンを守れている状態かな?

そうですね。ポーンがクイーンになってしまえば終わりですし、逆にポーンが取られてしまっても話が終わってしまいます。

まず、念のため、以下のような局面は簡単に優勢側の勝ちです。

白のポーンに対してそれぞれのキングが対称の位置におり、対等のようですが、白の簡単な勝ちです。白のキングが一歩前のf7まで進んでしまえば、あとはポーンを進めれば勝てます。黒にはそれを防ぐ手段がありません。

この例のように優勢側のキングがポーンを進めるのを助ける形になれば勝てます。

不利側はとにかくポーンの通り道を塞いでいなければなりません。

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攻める側がポーンを前から守る場合

実は、不利側がポーンの通り道を塞いでいる場合には、このポーンを前から守るパターン以外は勝てません。しかも必ず勝てるわけではないのです。1ポーンアップだからって不用意にこのようなポジションに持ち込んではいけません

下図の局面が基本形になります。この局面で黒番であれば勝ち、白番であればドローにできます。

このような相手キングと向かい合っている状態で相手に手番を渡すことオポジションを取ると言います。オポジションを取ることで相手キングを進路からどかすことができ、ポーンの通り道を確保できます。

黒番なら勝てる

上図で黒番であれば、下図のように黒はeファイルからどかなければなりません。黒キングが移動した方向と逆方向に白キングが移動すればポーンを進めるサポートをすることができます。

この後の展開を左側の図を例に進めてみましょう。

黒は白にKd7と入られてしまうと、ポーンの通り道をすべて抑えられてしまい、ポーンの昇格を防げません(下図)。

そこで、Ke8と防ぎますが、

黒はもう一度オポジションを取られてしまいました。またどかなければなりません。

逆によけても同じことです。

白はポーンの通り道を確保しました。

ポーンを止めようがありません。白勝ちです。

白番ならドロー

今度は白番の場合です。下図のように白が移動した方向に移動すれば白キングは前に出ることができず、ポーンを進めるしか選択肢がなくなります。

キングが横によけて、ポーンを進めると白キングはポーンの横にいてオポジションを取っているポジションになります。次の項目で見るように、これは簡単にドローです。

攻める側がポーンを横または後ろから守る場合

相手キングがポーンの通り道を塞いでおり、1ポーンアップの側のキングが、ポーンを横または後ろにいる場合には勝てません

実は、この二つのパターン区別する意味はありません。この先を進めていくと、途中の手順で両方とも出てくるからです。ここでの黒(不利な側)の戦略はなるべく白キングを前に進めさせない、です。特に難しいことを考える必要はありません。左の図の場合でこの後の手順を見ておきましょう。

勉強したことがある人なら、そっちに下がっちゃだめって思いませんでした?実は最後の最後まで特に考える必要はありません。

白のこの手以外では黒キングがKe5と元の場所に戻るだけです。ほら、キングが横にいるポジションになりましたよね。

黒の戦略は白キングを前に進めさせない、ですからこの1手です。白キングが下がれば、またKd5に入ればいいです。

キングが前に出られない以上、ポーンを進める他に局面を進める手がありません。この後は同じような手順で黒キングを下がらせていきます。

次の手で黒は盤の端に追い込まれます。このタイミングのみ、気を付けることがあります。

最後の瞬間は気を付ける

実は気を付けなくてはならないのは最後の局面だけです。上記の局面、黒はd8かe8に下がりますが、どちらが正解でしょうか?

Kd8の場合

Kd8に行ってしまうと白にオポジションを取られてしまいます。ここまでは問題なかったのですが、端に追い詰められている場合には致命的です。

白のポーンの昇格を防げません。

Ke8の場合

この手で黒がオポジションを取っています。

先程と似たようなポジションに見えますが、、、

この局面でステイルメイトです。黒は動かす手がないので、ステイルメイトとしてドローになります。もしこのルールを知らない人は一度確認しておいてください。

結局オポジション取る取らないが最後に決め手になっているのですが、オポジションの本質である相手のキングを進路からどかすということがポイントになっているわけではないので、オポジションが決めてという言い方でいいのかは厳密には疑問です。ただ、覚える上ではオポジションを取ると覚えておけば分かりやすいと思います。ただし、私自身はこれを「端キングの例外事項」であると考えています。

まとめ

今回は白黒キングともにポーンの近くにいる場合のエンドゲームについて確認しました。まとめとしては以下のようになります。

優勢側のキングがポーンの前

優勢側がオポジションを取れれば勝ちそれ以外はドロー

優勢側のキングがポーンの横や後ろ

ドロー、ただし最後の局面に注意(オポジションを取るべし)

次回はオポジションについて、もう少し詳しく考えていきたいと思っています。上の結論部分を見て少し違和感を感じませんか?その答えが分かると思います。

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