王道!?のチェス戦略本

私としては珍しく、いわゆるチェス戦略本を紹介します。

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今回紹介する本:Chess Strategy for Club Players

今日の記事で紹介するのはタイトルからして王道のチェス戦略本といった趣の本ですが、2009年にChessCafe Book of the Yearを受賞している最近(と言っても10年以上前ですが)では高い評価を受けている戦略本です。

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本の内容

タイトルは「クラブプレイヤーのためのチェス戦略」であり、いかにも王道の構成になっていそうですが、よく見ると変わった章立てがされています。

よくあるピースの種類(ルーク、ナイト、ビショップなど)での章立てはなく、「弱められたキング位置」、「弱いポーン」、「パスポーン」などの章タイトルが並びます。もちろん、そこまで戦略としておかしな章立てではないですが、やや不思議なリストだと思う人もいるかと思います。

その理由は、この本が「シュタイニッツのエレメント(要素?)」と呼ばれる16個のリストに基づいているからです。シュタイニッツのエレメントとはシュタイニッツが提唱したポジショナルプレイにおける16種の優位点(アドバンテージ)をリスト化したものです。「シュタイニッツの」となっていますが、実際にはラスカーによって提唱されたリストだそうです。

永続的なアドバンテージ(Permanent advantages)11種と過渡的なアドバンテージ5種(Temporary advantages)の合わせて16種です。

Steinitz’s Elements

Permanent advantages

  • Material advantage
  • Bad king position
  • Passed pawns in the middlegame
  • Weak pawn for the opponent
  • Strong and weak squares
  • Pawn islands
  • Strong pawn center
  • Control of a diagonal
  • Control of a file
  • Bishop pair
  • Control of a rank

Temporary advantages

  • Bad piece position
  • Inharmoniously placed pieces
  • Advantage in development
  • Concentration of pieces in the center
  • Space advantage

実際、本の内容もこのリストに沿って章立てされています。それぞれの章には問題が付けられており、章で学んだ内容がテストされます。また、1章全体が問題形式のテストになっている章もあります。

実のところ、私はこのSteinitz’s elementsというのは初耳でした。それが理由かわかりませんが、書かれている内容も新鮮に感じられる部分が多々あり、読んでいて非常に勉強になったと思いました。

もう一つの特徴は、この本が「戦略だけで全て理解できる」振りをしていないと感じられる点です。当然ですが、ほとんどのポジションで具体的な手順を読んで気を付けなければ変化というものは存在します。ですが、戦略本ではその戦略的な説明を分かりやすくするためにその他の要素を排除して説明することも多々見受けられる気がします。この本では正直に各ポジションの真実を議論していると感じられることが多かったです。

まとめ

私個人としてはいわゆるチェスの戦略本というものを読むことも少なくなりましたが、この本は久々に読んでとてもよかったと感じました。どなたにもおすすめしたいですが、欠点を挙げるとすれば初学者には少し難しいというか、前提知識が必要となる部分がある気がするところでしょうか。

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