タクティクスの問題や実戦でチャンスを逃さないためには、タクティクスのパターンを身に着けることも大事ですが、その他意識しておいた方がよいことがあります。
本記事ではタクティクスの問題を解くときに意識しておくと便利な項目をまとめました。
タクティクス(戦術)のパターンを知りたい方は以下の記事を用意しています。
はじめに
タクティクスの問題を解く際に、ぱっと答えが分かることもあれば、なかなか解けない場合もあるでしょう。また、実戦でなにかタクティクスが生じそうな局面なんだけど、どう考えていいか分からないこともあると思います。
本記事では、タクティクスがなかなか見えない時に、意識するとよいと思う項目について3つ紹介します。
- ターゲットとなりうる駒や状況を意識する
- 問題の目的を意識する
- 強制手を優先的に読む
それぞれ順番に説明していきます。実際にこの順番で考えることがよいと思います。
ターゲットとなりうる駒や状況を意識する
まずは局面の戦術的な特徴を把握することが重要になります。パッと局面を俯瞰して、以下のような要素がないか考えてみてください。
チェックメイトの可能性
局面の中に典型的なメイトの形がないか探ります。メイトの形については別記事で扱っています。
キングやクイーンなどの価値の高い駒
キングやクイーンは価値が高いので、その存在そのものがタクティクスを誘発します。攻撃を受けた際に対応しなければならない(キングは必須、クイーンもほぼ)ことがタクティクスのポイントになります。
その他ルークも通常ビショップやナイトと比べて価値が高いので、タクティクスに利用され得ますが、キングやクイーンほどではないです。
他の駒で守られていない駒
タクティクスにおいて相手の駒をタダで取るためには、もともと他の駒に守られていないのが一番です。
駒同士の連携が悪くないか
少し難しい概念かと思います。「守られていない駒」と近い考え方ですが、相手の駒同士の連携が悪いと、こちらの攻撃で相手の駒が浮きがち(守られていない状態になる)です。
問題の目的を意識する
問題がメイトを狙っているのか、駒得を狙っているのか、パスポーンを昇格させるのかなど、タクティクスの問題にはそれぞれにテーマがあったりします。そのことを意識すると問題を解きやすくなります。
まずタクティクスの目的を限定してみる
まずはタクティクスの目的をある程度絞ってみましょう。網羅できているかわかりませんが、以下のような目的がありそうです。局面判断をして、まずは直観的にどのような目的のタクティクスか決め打ちしてみましょう。
メイト
メイトの形への可能性が見えれば、メイト狙いのタクティクスを狙います。必ずしも相手をメイトにするわけではなく、メイトの狙いを使って駒得を狙う場合も非常に多いです。その意味では後で出てくる駒得にも近いですね。
クイーンやキングを利用した駒得
前項でも述べましたが、クイーンやキングは駒の価値が高いので、それらを狙いつつ他の駒を取ってしまうような狙いが生じます。
クイーントラップ
クイーンの位置取りがおかしいなと思ったら、そのクイーンを取れないか考えてみるといいかと思います。
駒得
守られていない駒がある、駒同士の連携が悪い場合には特に駒得を狙うタクティクスである場合があります。
パスポーンの昇格
当然局面にパスポーンがあればパスポーンの昇格をからめた問題である可能性があります。
タクティクスの目的を限定する狙い
上記のようなタクティクスの狙いを決め打ちしてから考える理由は、読まなければならない手が限定されるからです。いきなりあらゆる可能性を考えてしまうと、思考が止まりがち(どうしていいか分からなくなる)です。
分からなかったら異なる目的を想定してみる
一方で、当然ですが、目的を限定することで見落とす手が出てきます。少し考えて分からない、これではなさそうだと判断したら、別のタクティクスの目的を想定してみましょう。
このようなやり方の利点は、ある目的から別の目的に切り替えることで頭の切り替えがしやすいことです。すべての可能性を一度に考えると、切替ができないので、思考が止まりがちになります。
強制手を優先的に読む
相手に特定の手を強制することで、タクティクスが成立しやすくなります。逆に言うとタクティクスにはそういう手が含まれていることが多いので、優先的に読むべきです。また、強制的な手は相手の手が限定されるので、通常より素早く読むことができることもポイントです。
つまり、強制手を優先的に読むべき理由は以下の2点です。
- 性質上タクティクスは強制手が含まれがち
- 素早く読める手順なので、先につぶしておく
強制手には以下のようなものがあります。
チェック
チェックには間に味方の駒を挟むか、キングがよけるか、もしくはチェックした駒を取るか、しなければなりません。
ダブルチェック
ダブルチェックはよけるしかありません。よけるしかないと考えるとかなり手を読むのが楽になります。
駒を取る手(サクリファイス)
サクリファイスを中心とした駒を取る手も、通常は取り返す必要が生じるので、強制力の強い手です。様々なタクティクスにサクリファイスが含まれることが多いのはこのためです。
一方で、チェックではない場合には無視することも出来ることには注意しましょう。また、チェックに対してもよけるという選択肢があることも忘れずに(駒を取っているときには取り返す手だけを考えがちです)。
その他のテクニック
手順を入れ替えてみる
これはよく知られているテクニックです。ある手順でうまくいかない場合には手順をを入れ替えてみると、うまくいくことが多いです。
実戦に役立つ?
私は実戦でも使えるテクニックだと思います。
実戦において、常にタクティカルな手順を読んでいるわけではありません。タクティカルな狙いがありそうな局面に遭遇した際に具体的に読んでいくと思います。つまり、「ターゲットとなりうる駒や状況を意識する」ことはゲーム中常にやっておいたほうがいいです。
「問題の目的を意識する」のは問題を解く時だけと思いがちですが、タクティカルな手順を読む際にはそもそも目的(メイト狙いなど)を意識するはずです。
「強制手を優先的に読む」ことも実戦的に有効です。また、サクリファイスを無視するなど取る以外の選択肢があることは実戦でより意識しなければならないと思います。
まとめ
本記事ではタクティクスの問題を解く際に特に有効な考え方のテクニックを紹介しました。もちろん、実戦でも十分役に立つと思いますので、参考にしてみてください。
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