オポジション再考  ーポーンエンディングの基本ー

今回はもう一度オポジションについて考えてみようと思います。オポジションの理解を深めることで、これまでのエンドゲームの理解に加え、もう少し高度なポーンエンディングについて学びます。

スポンサーリンク

前回のおさらい

前回、オポジションの定義について説明しました。お互いのキングが1マス挟んで向かい合っている形がオポジションで、その局面で相手に手番を渡すことをオポジションを取ると呼びます。

優勢側のキングがポーンの前に居る場合には、オポジションを取れれば勝ち、取られればドローでした。

また、キングが端に追い詰められた最後の局面ではオポジションを取るか取られるかで結果が変わってしまうことを説明しました。

スポンサーリンク

キングしか存在しない世界では

前回の説明ではキング二つにポーンを1個加えた局面でした。

キングだけの局面はその時点でドローなので、通常意識することはありませんが、キング二つしかいない場合のオポジションとはどのようなものでしょうか。

永遠にオポジションを取れる

少し考えれば分かりますが、キングの動きは両者同じなので、一度オポジションを取られると永遠にオポジションを取られ続けます。

上の図のように相手キングの動きに合わせてキングを動かせば、オポジションを取り続けることができます。もちろん、キングしか存在しない世界なんて意味がないですが、、、

「ポーンの前」の意味

こう考えるとポーンの前にキングがいる場合のみ勝つ可能性がある理由が分かると思います。

ポーンの前のキングはポーンの影響を受けないので、オポジションを取り続けることが可能です。前回の白勝ちの局面を見直すと分かるのではないでしょうか。

ただし、優勢側の場合にはポーンを進めるという手があるので、キングがポーンの横に居てオポジションを取ったポジションになりますが、「ポーンの前」の局面から「ポーンの横」という基本的にドローになる別のポジションになってしまいます。

つまり、ポーンの横やポーンの後ろにキングがいる局面はポーンの影響を受けてしまうポジションということです。次にそのことについて見ていきましょう。

ポーンの影響は何か

ポーンの存在がどのようにオポジションに影響を与えるか考えてみましょう。

不利な側への影響

これは分かりやすいと思います。ポーンが効いているマスに移動することができません。

このため、上図のように優勢側がポーンの後ろにいる場合には不利な側はオポジションを維持できず、逆に必ずオポジションを取られてしまいます(正確に言うなら、取っても維持できない)。

つまり、上図の黄色いラインで表した関係では黒は必ずオポジションを取られます。

有利な側への影響

こちらは見落としがちな視点ですが、ポーンを持っている側はポーンのいるマスにキングを移動させることができません。

このため、上図で示すようなポーンと同じランク(横のライン)にいる場合には相手が間違えない限り、オポジションを取ることができません

自分のポーンが居る上図の黄色いラインの関係性では白はオポジションを取ることができません。

このことが、ポーンの前にキングが居ない限り優勢側が勝てない根本的な原因です。

まとめ

どうでしょうか?前回の内容に対する理解が深まりませんか?

え?前回のポーンエンディングは別に簡単だったから追加の説明なぞ要らない?そんな勝敗に影響しないことを考えてどうするんだ?

まぁ、そうですね。確かに前回やったようなポーンエンディングは難しくないと感じる人も多いでしょう。だからこそ今回扱ったような内容を意識しなくても覚えられます。

しかし、発展的なポーンエンディングを考える上では結構重要な概念だと思うのですよ。このことについては次回扱おうと思います。

終盤の基礎知識

渡辺暁のチェス講義

コメント

タイトルとURLをコピーしました