ー基本のエンドゲーム 1ー クイーンVSポーンのエンドゲーム

本ブログでは、ポーンエンディングとルークエンディングについては体系立てて記事を書くつもりです。他のエンドゲームについてはカテゴリごとに紹介するのはさすがに現実的ではないと感じていますが、誰もが知っているべきエンドゲームについていくつかピックアップする必要があるだろうと思いました。この「基本のエンドゲーム」シリーズでそのような重要エンディングの説明をしようと思います。

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クイーンVSポーンはなぜ重要か

クイーンVSポーンのエンドゲームとは、片方がキングとクイーン相手がキングとポーンだけを持っているエンドゲームのことです。通常、キング+ポーン側はポーンとキングが近くにいて、キングとクイーン側は相手のポーンの遠くにいます(そうでないと簡単にポーンが取れます)。

「クイーンとポーンだって?クイーンが勝つにきまってるじゃん、簡単だよ」

このように思う方も多いでしょう。確かにこのエンディングはそれほど難しくないと思います。ただし、重要性は高いです。なぜなら、ポーンエンディングの帰結として生じるからです。お互いにパスポーンを持っており、相手のポーンを止めるのではなく、お互いのポーンを昇格させる争いになった場合に、片方が先にクイーンに昇格することで生じるのが、クイーンVSポーンのエンドゲームです。

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意識するべきポイント

このエンドゲームにおいて意識するポイントがいくつかあります。そのポイントさえ押さえてしまえば、考えなくても指せるはずです。この考えなくても指せるというのが結構重要です。上記の通り、クイーンVSポーンのエンドゲームはゲームの最終盤に起こるため、持ち時間が少ない場合が多いのです。

キングが必須である

クイーンは強力な駒ですが、相手キングによって守られたポーンを単独で取ることはできませんし、単独でのチェックメイトも不可能です。ですので、味方のキングを相手キングとポーンに近付けることが必須です。

相手にポーンを進めさせない

相手のポーンを昇格されてしまっては基本的にはドローになります。このため、相手のポーンを進めさせないことも必須です。

上記のポイントの実現方法

上記二つのポイントから、クイーン側としてはキングを動かすけれども相手にポーンを進めさせない状況を作る必要があります。

結論から言えば、下図のように相手キングを自分のポーンの前に移動させることができれば実現可能です。

白番

黒キングが黒ポーンの前におり、ポーンを進めることができません。白は次の手でキングを動かして、相手のポーンに近付きます。

そして、上図の状況を作るための一つ前の手が、下図のチェックになります。

白クイーンは黒キングをチェックしていますが、それと当時にポーンも攻撃しています。このため、黒キングはポーンを守りつつチェックをよける必要があり、上のポジションではポーンの前に移動せざるを得ません。

次に具体的なポジションを使って手順を見ていきましょう。

具体的な手順

次に下図のポジションから相手キングをポーンの前に追い込む手順を見ていきます。

白番

1. Qe7+ Kf2

黒は敢えてポーンから離れて次にd1でプロモーションを狙います。白は気にせず、チェックをしながら相手ポーンに近付きます。チェックをしないと相手のポーンがプロモーションしてしまうので、それだけ気を付けましょう。

2. Qf6+ Ke2 3.Qe5+ Kd3

黒は先ほどとは異なり、ポーンの後ろに逃げました。白は特に気にせずチェックをしましょう。

4. Qd5+ Ke2

ここで、黒がe2ではなく、e3に逃げる手が気になる人もいるかもしれません。しかし、Ke3ではポーンの昇格がスレットになっていないので、白キングを動かす余裕ができます。

参考図、黒はポーンを進められない

5. Qe4+ Kf2 6. Qd3

クイーンが十分にポーンに近付いた時点で、相手キングがポーンの守りから外れた際にはこのようにポーンを狙うことがポイントです。もちろんポーンの後ろから狙わないと昇格されてしまうので気を付けて。

7… Ke1 8. Qe3+

黒がポーンを守るためにはKe1しかありませんから、Qe3+で狙いのポジションが実現できます。

8… Kd1 9. Kg7

こうして1歩キングを近づけることができました。この後も手数はかかりますが、同じような手順でキングを近づけてd2のポーンを取れば勝つことができます。

例外事項

上記で紹介した勝ち方には例外事項があります。相手のポーンがhまたはfポーンで7段目まで進んでいる場合には原則的に引き分けになります。どちらの場合でも上記の狙いのポジションを作ってみれば理由が分かると思います。

hポーンの場合

hポーンの場合は簡単かと思います。

優勢側は上記のポジションを狙っているわけですが、このポジションはステイルメイトで引き分けです。

fポーンの場合

fポーンの場合はもう少し複雑です。

上のポジションで、黒はポーンを守るためにc1に行かなければならないように見えますが、実際にはa1に逃げられます。

1… Ka1!

黒が次にポーンの昇格を狙っているので、ポーンを取る1手ですが、、、、

2. Qxc2

このポジションもステイルメイトです。

注意点

ただし、キングの位置によっては優勢側にもチャンスがあります。

黒キングの位置がbファイルではなく、dファイルの場合には、まずキングをbファイルに移動しなければならないため手数がかかります。この手数を利用して優勢側が勝つような局面がエンドゲームの本では扱われています。

まとめ

今回はクイーンVSポーンという、一見簡単で当たり前の組み合わせのエンドゲームについて説明しました。お互いにポーンを進めるポーンエンディングで生じるという重要性とfとhポーンの例外事項があるために、重要なエンドゲームの一つになっています。

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