【チェス】史上最強のプレイヤーは誰か

歴史上最強(または最高)は誰かという問いはジャンルを問わずファンの間で繰り返される話題かと思います。チェスにおいてもよく扱われる話です。本記事では私の基準で4人のプレイヤーを候補に上げました。

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はじめに

歴史上最強は誰かという議論をする際に必ず問題になるのは、世代が異なるプレイヤーをどのように比較するかということだと思います。チェスの場合、レーティングという数値指標があるから簡単だと思われるかもしれませんが、2つ問題点があります。

レーティングで比較する問題点
  • レーティングがインフレ傾向であること
  • レーティング制度以前との比較

理由は明確ではありませんが(おそらくFIDEレーティングの取得要件が緩和されたから?)、FIDE(国際チェス連盟)のレーティングの数字はどんどんインフレしています。このため、現代のプレイヤーの方が有利になります。

また、レーティングシステムが導入されたのは20世紀の半ばで、それ以前のプレイヤーに適用できません

では、どうすればいいかと言えば、同時代のトッププレイヤーからのレーティングの乖離率や対戦成績の圧倒性で強さを見積もることが一般的であるように思います。色々数値化して求めることも可能なようで、Wikipediaのページで各世代のトッププレイヤーの比較をしているページもあります。

しかし、この記事では私の独断で判断した最強候補を紹介します。

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4人の候補

マグヌス・カールセン
Magnus Carlsen

FIDE World FR Chess Championship 2019 - Magnus Carlsen (cropped).jpg

写真:Wikipedia

まずは現世界チャンピオンのカールセンです。

考えるまでもなくカールセンが世界最高でしょって思う人もいそうですね。歴代最高レーティングの2882を記録しています。

ただし、近年レーティングがインフレしていることを忘れてはいけません。20世紀にはカスパロフ一人であった、レーティング2800超えは2010年以降11人のプレイヤー(2021年6月現在)が記録しています。レートの高いプレイヤーと対戦していれば、レーティングの数字自体は高くなるでしょう。

ガリー・カスパロフ
Gary Kasparov

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写真:Wikipedia

カールセンの登場でやや評価が変わりつつある気がしますが、歴史上最強と言われていたのはカスパロフでした。最高レーティングは1999年に記録した2851。この数字のすごいところは、当時は2800を超えるプレイヤーはいませんでしたし、2700を超えるプレイヤーすら10人程度しかいませんでした。2700を超えれば世界のトップと言われる中2851をたたき出したのは凄すぎます。また、IBMのディープブルーとの歴史的な戦いを行った点も評価に加味したいところです。

ボビー・フィッシャー
Bobby Fischer

Bundesarchiv Bild 183-76052-0335, Schacholympiade, Tal (UdSSR) gegen Fischer (USA) Crop.jpg
写真:Wikipedia

1972年に世界チャンピオンになったフィッシャーですが、その過程でラーセン、タイマノフといった世界的なプレイヤーを6戦6勝で下しました。そのような爆発的な結果もあり、1972年のレーティングは当時世界最高の2785!2位のスパスキーが2660でしたので、レート差の大きさとしては前の二人をはるかに凌ぎます。

ポール・モーフィー 
Paul Morphy

4人目はいきなり時代が飛んで、ポール・モーフィーです。

数年のキャリアの中で世界のトッププレイヤーを根こそぎ倒し、かのフィッシャーをして、「現代のどのマスターも倒すだろう」と評価しています。同時代のプレイヤーと比べて飛びぬけた存在であったことは間違いありません。

意外な(?)次点候補

4人の候補の中に入りませんでしたが、実は近いところにいるのではないかと思っている2人の世界チャンピオンも挙げておきます。

アナトリー・カルポフ
Anatoly Karpov

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 220px-Anatoly_Karpov_%281967%29.jpg
写真:Wikipedia

カルポフを意外と言ってしまっては失礼かもしれません。しかし、カルポフの最高レーティングは2780で、カスパロフどころかフィッシャーにも及びません。また、カルポフはカスパロフとの直接対決に敗れて王座を失っているので、はっきりと差がついているようにも見えるかもしれません。

確かに、カルポフはカスパロフにマッチで敗れて王座を失い、その後の世界戦でも取り返すことができていません。しかし、世界戦のトータルの成績は19勝21敗104ドローで、ほぼ互角です。年齢差を考えれば、どちらが強かったか分からないのではないでしょうか。

また、レーティングシステムはその仕組み上、アグレッシブな勝ち数が多いプレイヤーが上位に行きがちです。手堅い棋風のカルポフが史上最強から遠いとは必ずしも言えないのではないでしょうか。

ヴィルヘルム・シュタイニッツ
Wilhelm Steinitz

Wilhelm Steinitz2.jpg
写真:Wikipedia

こちらは意外だったのではないでしょうか。初代世界チャンピオンのシュタイニッツです。彼は1886年に世界チャンピオンになりましたが、1866年にアンデルセンにマッチで勝って以降世界最強とみなされていました。実際に、1866年から1894年にラスカーに敗れるまでに数多くのマッチを戦っていましたが、そのすべてに勝っています。長年に渡って同年代のチェスプレイヤーから抜けた存在だったと思われます。また、不当に評価が低いチャンピオンとして議論されることも多いプレイヤーです。

個人的な印象とまとめ

カールセンが一番でしょう、と思っている人が多い気がします。私も時代の違いを考慮しても直接対決がもし実現できればカールセンが勝ちそうではないかと思っています。しかし、相対評価としていまだカスパロフが上なのではないかという印象です。私のこの評価が今後10年でどう変わるか楽しみにしています。

また、活躍期間が短いとはいえ、瞬間最大的にはフィッシャーが最強に思えます。カールセンが2950ぐらいを叩き出さないと超えられない気がします。

最後に、夢を見るならモーフィーを推したい気持ちもあります。

最強プレイヤーまとめ
  • チェスプレイヤーとして客観的に見るならカスパロフ、カールセンの順。
  • 爆発力を評価するならフィッシャー
  • 夢を見るならモーフィー

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