ナイトの使い方 ー基本のチェス戦略ー

日本ではチェスと言えばナイト、というイメージがある気がします。ナイトの動きの特殊性であったり、ナイトフォークのような華やかなタクティクスがその理由でしょうか。

では、そのナイトは戦略的にはどのような特徴があり、どのように使われるべきなんでしょうか。本記事ではナイトを活用するための知識について説明します。

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ナイト、華やかなトリックスター

まず、ナイトが持つ一般的な特徴について3つ挙げておこうと思います。

射程が短い

すぐに気が付くことですが、ナイトは他のチェスのピースに比べて射程が短いです。ナイトよりも射程が短いピースはポーンとキングだけです。

このため、ナイトは移動に手数が掛かります。序盤においてナイトをビショップより先に出す方がよいという格言がありますが、その理由も手数がかかるから、ということでしょう。

全てのマスに行ける

二つ目に、ナイトは白マス、黒マスどちらのマスにも移動可能です。このことはビショップとの対比で意識される項目です。ビショップは白マス、黒マスどちらか片方にしか移動できません。

白マスか黒マスか

最後は見落としやすい事柄かもしれません。ナイトは白マスと黒マスを交互に移動します。このため、白マスに居るナイトは黒マスを、黒マスにいるナイトは白マスを攻撃することになります。

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ナイトは拠点(アウトポスト)を求める

前述の通り、ナイトは射程が短いのであまり移動したくありません。このため、居座り続けることができる拠点があると理想的です。この拠点のことをアウトポストと呼びます。

アウトポストとは

アウトポストとは、敵のポーンによって攻撃される可能性がなく、その他のピースによってすぐには追い払われることがないマスのことです「弱いマス」の定義に近いですが、アウトポストの場合には敵を攻撃する拠点なので、自分の4段目よりも敵側における弱いマスのことを呼ぶ場合がほとんどです。

「すぐには」追い払われないというのはやや曖昧ですが、少なくとも2手以上、できれば3手以上かけなければ追い払えない場合です。

また、必須条件ではありませんが、味方の駒によってしっかりと守られているマスであることも多いです。

上図はシシリアンナイドルフから派生したと思われるポジションです。d5の地点が典型的なアウトポストになります。

弱いピースほどアウトポストが使いやすい

アウトポストに配置されているピースが攻撃を受けても、そのピースよりも強いピースであれば痛くも痒くもありません。交換されても問題がないからです。その意味でもナイトに有利です。ポーン以外であればナイトとビショップが最も価値が低いからです。

5段目、6段目が理想

アウトポストは攻撃の拠点なので、相手陣深くであればあるほど理想的であると思うかもしれませんが、少なくともナイトが利用する場合には5、6段目が理想です。

センターの重要性の記事でも扱いましたが、センター付近に配置された方がピースの行動範囲が広くなります。7段目、8段目にナイトを配置すると行動範囲が狭くなり、ピースの働きが悪くなります。

このため、相手陣深くのアウトポストに入る場合には、長く居座るのではなく、短手数で勝負を決する狙いがある場合が多いです。

すぐに交換されてしまうのはつまらない?

前述で、ナイトは価値が低めのピースなのでポーン以外のピースと交換されても問題ないと書きました。しかし、アウトポストを占拠してすぐに交換されてしまうようでは面白くないのも確かです。アウトポストはピースが配置されていることに価値があります。

ピースでしっかり守る

上図のポジションはかなり極端ですが、d5のアウトポストにナイトが入ったうえで、そのナイトをビショップとナイトが守っています。d5でピース交換が生じても(ポーンではなく)ピースで取り返せるため、アウトポストにピースを維持できます。

交換後のポーン構造を意識する

よくあるパターンは、アウトポストがポーンで守られており、ピースの交換によってアウトポストの位置にポーンが配置される場合です。この場合にはポーン構造が変わるわけですから、そのことを意識し対応できるようにしておく必要があります。

シシリアンナイドルフでよく見かけるのが上図のようなポーン構造です。ポーンがe4からd5に移動したことでdファイルがクローズになり、黒の弱点であったd6のポーンは狙いにくくなっています。一方で、c6のマスはd5のポーンに守られて絶好のアウトポストになっています。

以上のことからアウトポストを占拠する際のポイントは以下の2点です。

  • アウトポストで交換が生じた際にピースで取り返せるようにしておく
  • 交換後のポーン構造を見据えた戦略を立てる

クローズドなポジションが得意

一般的にナイトはクローズなポジションが得意だと言われています。

クローズなポジションとはポーンが固まっており(お互いのポーンチェインが隣接している)、ポーン交換などもしにくく、ポーン構造を大きく変えることが難しい局面のことです。

上図はかなり極端な例ですが、クローズな局面です。ビショップやルーク、クイーンですら相手陣地に入り込む手段がありませんが、ナイトはポーンを飛び越えていけます。

また、このようなポジションでは通常ナイトにとって有力なアウトポストが存在することもポイントです。ポーン構造が安定しているので、アウトポストも安定します。

パスポーンを止める名人

ナイトはパスポーンを止める最も有効なピースであると考えられています。

パスポーンを止める際にはパスポーンの進行方向であるポーンの正面にピースを配置し、そこから動かないでいる必要があります。この役割にナイトがぴったりなのです。

これはナイトの特徴的な動きと関係があります。

ナイトはその動きを見るとポーンの正面にいても移動範囲を制限されません。ルークやクイーンであれば止めているポーン方向への移動を制限されているので、ピースの働きが悪くなります。

この点で言えば、ビショップも同じで、ビショップもパスポーンを止めるピースとして悪くありません。しかし、ナイトがより相性がいい理由はパスポーンを守るポーンを攻撃できるからです。下図のようにパスポーンを止めているナイトは、丁度パスポーンを守るポーンを攻撃する位置にあります。

上図が典型的です。d3にいるナイトはd4の黒のパスポーンの進行を止めると同時にd4を守るc5とe5のポーンを攻撃しています。

まとめ

今回はナイトの使い方について学びました。ナイトは射程の短いピースであるため、アウトポストの存在が重要になります。それに関連してクローズなポーン構造に変化が起きにくい局面で強さを発揮します。また、ナイトの独特の動きは相手のパスポーンを止めるのに役立ちます。

Winning Chess Strategies

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