渋いチョイスの白番向けレパートリー本(初手Nf3)

 タイトルからはレパートリー本というよりもUlf Anderssonの棋譜集という趣ですが、実際にほとんどがUlf Anderssonの白番でのゲームで構成されています。Ulf Anderssonの指していたラインを元にしたレパートリー本なわけですが、このUlf Andersson、70年代から80年代に活躍したプレイヤーで、非常に手堅い棋風で知られています。過剰ともいえるほどタクティカルな局面を避け、そのエンドゲームスキルで小さな有利を勝ち切ることを得意としていました。

 そのため、この本で扱われている変化もなかなかに独特です。SlavやKing’s Indian Defenceにはエクスチェンジバリエーションが採用されていますし、その他の定跡に対してもかなり保守的なラインが選択されていると思います。ここまで聞くとそんなんで勝てるのかよ、という声が聞こえてくる気がします。確かに、ドローになりやすい変化を選んでいると思います。でも一方で、そういうチェスがいいんだよなっていう人もいるんじゃないですか?この本はあなたのためのものです。

 そうでなくても、トーナメントで白で強い人に当たった、勝てなくてもいい、というシチュエーションもあると思います。あるいは、白の定跡の中で、この定跡だけは苦手、黒が指してきたらドローでもいいかも、という考え方もあります。考え方はあなた次第です。少なくとも、この本で選択されているオープニングは他の本では見かけることがないものですし、1冊持っていてもいいんじゃないか、私はそう思って購入しました。

 最後に一つ言い忘れました。この本は初手Nf3のレパ本です。べノニやベンコーはそもそもレパートリーの中にありませんので、その辺はご注意を。

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