Slav Defenceは先の世界選手権でKramnikが全ての黒番で採用し、話題に(?)なりました。とはいえ、今流行の定石というわけではないと思います。New in chess magazineでもあまり見かけませんし。国内ではそれ以上にマイナーで、semi-slavではなく、dxc4とするslavの方を指す人は数人ぐらいだと思います。
今回紹介する本はサドラーのクイーンズギャンビット3部作(Queen’s Gambit Declined、The Slav (Chess Press Opening Guides)、The Semi-Slav )の1冊です(いや、勝手にこう呼んでるだけですが)。
始めに断っておきたいのはこのThe Slav は評判のよいQueen’s Gambit Declinedとはまったくレベルの違う本であるということです。確かに体裁は似ています。Slav Defenceの変化ごとに章立てし、そのうちメインのサブ変化に関しては実際のゲームをいくつか並べ、さらに細かな変化に関してはゲーム中の注釈の中に入れるという形式です。また、Q&A形式も入っています。ただ、QGDと比べるとQ&Aの掛け合いが軽妙さに欠く上、量も少ない。QGDで特徴的だったポジションに関する文章での説明と言うものがほとんどない。QGDとSlavの特徴の違いといってはそれまでですが、自分としては正直がっかりしました。
大きな期待をしなければ悪くない本だとは思います。Slavに関する本はあまり多くありませんし。ただちょっと古いかな。
The Slav (Chess Press Opening Guides)
Matthew Sadler
コメント
書評、たいへん参考になりました。
最近出た大会で、黒の相手にスラヴをやられて悲惨な負けが続いたので危機感にかられ、サドラーのこの本と、<Starting out:Slav&Semi-slav>(Flear)と、最後まで迷って、結局、刊行年の新しい<Starting out>を買いました。書評を読んで、「良かった」とホッとしました。心安らかに(^^)読み進められます。
有り難うございました。