レティ オープニング ー Opening impressions ー

Opening impressionsはチェスの様々なオープニング(序盤定跡)について私の私見を含めて、簡単に網羅解説していこうというシリーズです。

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レティ オープニング
Reti Opening

1. Nf3

レティオープニングは白が初手Nf3とする変化全般のことです。ハイパーモダンの旗手として有名なリチャード・レティの名前からその名が取られています。ハイパーモダンとは、通常ポーンによってセンターを支配する考え方に対して、ポーン以外のピースによってセンターを支配することも可能であるという主張を実践する考え方のことです。20世紀初頭にレティをはじめ、ニムゾビッチ、グルンフェルド、ボゴリュボフといったプレイヤーによって提唱されました。

Richard Reti Wikipediaより

このレティオープニングは、初手Nf3で定義されますが、他の様々なオープニングに手順前後で変化する可能性があります。特に、d4の様々な定跡変化に落ち着くことが多いです。

一方で、d4を突かないことによってレティ特有のポジションに白から選択することも可能です。

d4の定跡に突入する場合については、Opening Impressionsの他の解説記事に任せるとして、本記事ではNf3という手の特徴と、d4を突かない場合について説明します。

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初手Nf3の特徴と意味

e5を防ぐ

初手Nf3の意味は、何といっても黒にすぐにe5と突かせないことです。初手c4のイングリッシュオープニングでは、黒は初手からe5を突けるため、有力な変化の一つになっています。イングリッシュとレティは似たオープニングだと思いますが、このe5の変化を許容するかどうかがどちらを好むかの分かれ目になるかと思います。

黒からのc5

一方で、Nf3はd4に比べるとc5を牽制する役割が薄く、黒に初手c5と突かれてしまいます。d4d5定跡においては、c5は黒からの有力なポーンブレイクの手で、この手が問題なく入るとほぼイコールと言われます。そう考えると、Nf3は初手d4と似ていますが、互角に近い局面になりやすい初手であると言えると思います。ただし、同じ問題を抱えているイングリッシュオープニングに比べると、2手目e4とすることでシシリアンにトランスポーズすることも可能です。

1. Nf3で選択できない変化

初手Nf3とすることで選択できない変化も当然存在します。ナイトをf3に配置することでfポーンを早めに突くような変化はできませんし、Ne2(時にはh3も)とする変化もなくなります。

個人的な評価

d4定跡またはイングリッシュへのトランスポーズ

レティに関してはそれ独自と言える変化はほとんどないと言えます。d4を突く変化はd4定跡へのトランスポーズですし、突かない変化はイングリッシュといえるでしょう。そうは言っても黒に初手c5とされてしまうとイングリッシュ系を強制されてしまいますが。

イングリッシュ固有の変化であるc4 e5を避けたいかどうかがレティを選択するポイントかな、と思います。

インディアン定跡に対して柔軟

レティオープニングは黒のNf6の変化に対して柔軟に対応できる点が魅力であると思います。初手Nf3、2手目c4(またはg3?)とし、黒がNf6の次に何をしてくるか見極めます。

通常、g6またはe6としてくると思いますが、それを確認してからd4を突くかどうか決めることができます。g6ならばキングズインディアンかグルンフェルド、e6であればニムゾインディアンになることが期待されますが、特定のオープニングのメインラインを指したくないということであれば、d4を突かずにさけることも可能です。

まとめ

みんな大好きレティ・オープニングについてまとめました。具体的な手順には触れていませんが、独自の定跡というよりはd4定跡やイングリッシュの手順に柔軟に入っていけることが特長ではないかと思います。

The Dynamic Reti Nigel Davies (著)

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