チェスの効率的なトレーニング法 By GM Noël Studer

スイスのグランドマスターNoël StuderはNext level chessというブログで様々な記事を書いています。本記事ではその中から”The most effective chess training method”というタイトルの記事について抜粋し、私なりの考えと共にまとめました。英語が得意な人であれば元記事を読んだ方が正確だと思うので、下記リンクを参照ください。

Next level chess Homepageより
The Most Effective Chess Training Method - By GM Noël Studer
What is the most effective chess training? There is no short-cut. But I have an efficient method that works and you can ...
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楽な道筋などない

まずStuderさんが前提としたのは楽に上達する方法などないということです。そのことを分かった上で以下のやり方を見てくれ、とのことでした。「チェスは難しい」ということは私もこのブログの記事で何度も言ってきたと思うので、このブログの読者の方なら問題ないですよね!?

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トレーニング方法

1. 自分の弱点を挙げてみる

  • オープニング
  • タクティクス/読み
  • ストラテジー
  • エンドゲーム

ここでは自分自身の印象で構いません。この後のプロセスで客観的な弱点と比較します。また、初心者、初級者レベルであれば上記のざっくりとした分類でよいでしょうが、中級者以上であれば、より細かな分類が必要かもしれません(元記事にも細かな分類に関しては記載はありませんでした)。

2. 自分の負け試合を分析する

次に自分の負け試合(直近10試合、もっと多くてもよい)の敗因を分析します。その負けに直接繋がったミスがオープニング、タクティクス、ストラテジー、エンドゲームのどれに分類されるかを判断し、それぞれどれぐらいの割合で敗因になっているかを分析します。

ここでの注意点は、直接負けにつながったミスを同定するということです。

ピースダウンの状況でクイーンが落ちた場合には、(ピースダウンの時点でほぼ負けなので)なぜピースダウンをしたかを考えます。一方で、オープニングで悪くなって、その後中盤で逆転、最後にブランダーで負けになった場合にはオープニングで悪くなったことはカウントしません。

3. 弱点の比率(+10%)でトレーニング

上記の直接負けにつながった項目ごとに比を取ります。

ただし、全く勉強しない0%の項目を作らないために10%をすべての項目に加えます。

つまり、オープニング0、タクティクス6、ストラテジー3、エンドゲーム1の場合には、最初からそれぞれの項目に10%ずつ追加されているので、残りの60%を6:3:1に分けて、オープニング10%、タクティクス46%、ストラテジー28%、エンドゲーム16%をトレーニングに振り分けます。

なんだか難しい計算になっていますが、それほど厳密に考える必要はないと思います。要するに、

  • 2で同定された弱点項目を重点的に勉強
  • ただし、全項目最低でも10%組み入れる

と考えればいいと思います。

個人的な印象

システマティックに勉強するのが原則

皆さんはどのようにチェスを勉強しているでしょうか。毎日チェスを勉強している人でも、その日に気が向いた内容をやっているだけだったりしませんか?あるいは毎日タクティクスの問題を5問解く、などタクティクスしか継続的にはやっていない人も多そうです。GM Noël Studerはそんなことは許しません

Studerのこの記事を実践する人は、事前にきちんと計画を立ててそれを実行していくことが前提です。そんなの楽しくない、と思う人もいるでしょうが、「最も効率的なトレーニング」のためには必要だということです。

オープニングが軽視されがち?

この記事を読んでいて私が気になったのは、この記事の通りに分析すれば、オープニングが敗因として分析されることは(素人レベルでは)なさそうです。よっぽど、5手でピースが落ちるとかそういう話だけになる気がします。もちろん10%追加分があるので、序盤を勉強することにはなるのでいいのかもしれません。

上達と共に変化していく

もう一つ思うのは、中級者ぐらいまで到達するまでは敗因として分析されるのは、ほぼタクティクスではないかということです。仮に、戦略的に致命的なミスをしてそれがほぼ直接の敗因だとしても、中級者以下ではその判断ができない気がします。また、エンドゲームまで到達するゲームがなければ敗因になることもないので、初中級者のうちエンドゲームが敗因として分析されることも少ないでしょう。

ただ、おそらくそのことも考えた上で上記のようなプランを立てているようにも思えます。追加分の10%で他の分野の勉強を担保しているので、学習と共に上達していくと、徐々に敗因の幅が広がっていくことが期待できます。そして、まずは駒をタダで取られない、簡単なタクティクスが見えるようにするなどが上達の早道だからです。

上級者に判断してもらうのが理想か

Studerの記事は自分を客観視することを意識していると思われます。1で自分自身の印象をリスト化した後に、2で自分のゲームからなるべく客観的に敗因を探ろうとしていることからも明らかです。

これは、コーチを持たない個人が自分で上達するために必要なことだと思います。しかし、やはり2のプロセスを上級者に判断してもらうのが結局のところ一番効率がいいのではないかと思います。ま、他人の意見をきちんと聞けるかどうかというのもありますけどね。

自分を客観視できるか

自分を客観視することは難しいです。なぜなら、多くの人にとってチェスはたかが趣味で娯楽であり、客観的な評価よりも自分にとって心地よい自己評価に陥りがちだからです。やたらとオープニング知らないと連呼する人や、自分はタクティカルプレイヤーだと思い込んでいる人など、あなたの周りにもいませんか?いや、あなたもそうでは?そのような考えは本当にあなたの実情を反映していますか?

自分を客観視できていないがために、効率的な上達ができていないのかもしれません。

まとめ

最近話題のチェスブログNext level chessの一記事について解説しました。私なりに気になるところ、重要だと思うことについてもコメントしました。好評であれば、Studerの他の気になる記事についても解説するかもしれません。

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