チェス用語集(大会・試合形式編)

他のあらゆるゲーム、その他と同様にチェスにおいても専門用語が存在します。ここでは大会や試合形式に関連した用語を集め(順番は適当です)、簡単に説明しました。

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試合形式など

OTB

“over the board”の略。実際にチェス盤を並べてチェスを指すこと。ネットチェスの対義語。

郵便チェス・通信チェス

元々は手紙で指し手のやり取りをして行うチェスゲームのこと、現在では電子メールなどで行っている(と思う。詳しくは実は知らない)。

通信チェスでは長期間考えることが可能なことや、チェスの本などを参照してもよいこと、コンピュータでの解析も容認されていることなどから、OTBよりもより精緻なゲームになる(と期待される)。

フィッシャーランダム/Chess960

ピースの初期配置がランダムに設定されているチェスのこと。2段目にポーンが8つ並んでいるのは同じで、1段目のピースがランダムです。ただし、白黒それぞれの並びは同一。フィッシャーによって提唱されたためにフィッシャーランダムと呼ばれますが、最近はChess960と呼ばれることが多い気がします。

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持ち時間など

フィッシャーモード

1手指すごとに一定の時間が持ち時間に足されていく時間設定のこと。一般的には1手につき30秒増える形式の試合が多い。有名な世界チャンピオン、ボビー・フィッシャーによって提唱されたためにこの名称が付いています。

現在では大会の時間設定はほとんどこのフィッシャーモードを採用しており、アナログ式の対局時計が廃れていった要因にもなっていると思われます。手を指すごとに時間が足されるために、終盤にもある程度時間が使えるというメリット(対局内容のクオリティが上がる)の一方で、試合の終了時間が読めないなどの大会運営上のデメリットもあります。

切れ負け

負けそうになって怒り出すことではありませんし、試合中に怒りだしたから負けにされることでもありません。フィッシャーモードではなく、試合時間が固定されており、指し進めても時間が増えない形式のことを呼びます。本来、時間切れで負けることを示す言葉ですが、派生して固定時間形式の試合形式のことを示す言葉になっています。

***の例会は切れ負けだから気をつけないとね

というような用法が一般的です。

**手**分+**分

ある手数までいくと時間が追加される持ち時間形式のこと。例えば40手90分+30分であれば、41手目から30分持ち時間が追加される。近年ではこれに加えて1手ごとに30秒追加されるフィッシャー形式が一般的。

持ち時間による名称の違い

チェスの大会、あるいは試合形式については持ち時間の長さにより異なる名称がつけられています。

クラシカル

通常、90分+1手30秒加算の形式より長い場合にクラシカルと呼ばれます。60分+1手30秒加算は微妙なところで、ラピッドとは呼ばれないと思いますが、どうでしょう。

ラピッド

主に10分から30分程度の長さのゲームをラピッドと呼びます。1手あたり数秒から10秒程度の加算がされる場合もあります。

ブリッツ

3分から10分程度のゲームはブリッツです。チェスプレイヤーが毎日延々ネットで指しているのはだいたいこのブリッツのイメージです。

バレット

ブリッツよりもさらに短い試合時間のゲームを指す。lightingと呼ばれることもある。一般的には1分切れ負けの試合形式を指すことが多い。チェスにならないと言われることも多い。

大会用語など

アービター

チェスの大会を取り仕切る審判的な役割の人。FIDE公認のアービターの資格もある。

ラウンドロビン・ダブルラウンドロビン

ラウンドロビンは総当たり戦、ダブルラウンドロビンは双方白と黒1戦ずつおこなう総当たり戦です。

ラウンド

チェスの試合を数える単位。1試合目は1ラウンド、2試合目は2ラウンドなどと呼ぶ。表記上は1R, 2Rなどと略すことが多い。

スイス式

チェスの大会の際に対戦の組み合わせを決める方法で現在最も利用されている手法のこと。同じポイントの人同士で、なるべくレーティング差が平均的に離れるように組み合わせている。つまり、同じポイント内ではレーティング最上位と真ん中、レーティング2番目と真ん中から2番目、、、、、というような組み合わせになる。ただし、白番数と黒番数が個人で偏らないようにや同ポイントの人が奇数であった場合への配慮などが必要なため、単純には上記の組み合わせにはならない。

現在、NCS、チェスクラブを問わずほとんどの大会でこのスイス式による組み合わせで試合が行われており、実際の運営では組み合わせ用のソフトウェアが用いられている。ただし、クラブの例会などでは会の運営者の裁量で組み合わせを決めていることも多い。

スイスギャンビット

スイス式のチェスの大会において、1ラウンド目を引き分けや負けで始めること。主に強豪プレイヤーに使う。強豪プレイヤーは1Rは格下のプレイヤーと当たることが多いが、ここでポイントを落とすことでその後の対戦相手の当たりが緩くなる。このため、2ラウンド以降に連勝を続け、最終的に大会で入賞することもまま起こる。

ギャンビットとはチェスの序盤で1ポーンを捨ててチャンスを作りにいく戦法であり、スイス式の大会で1R 目でわざとポイントを落として大会で入賞するような戦略をこのギャンビットになぞらえた言葉である。もちろん、1Rをわざと落とそうとする人は(たぶん)いないのだが、結果として強い相手と当たらずに入賞をする人がいると、やっかみを込めて「スイスギャンビットじゃん」と呼ぶ人も多い。

ドローオファー

対戦相手に引き分け(ドロー)の提案(オファー)をすること

イリーガルムーブ

チェックを受けているのに対処しなかったり、ピンにされている駒を動かそうとしたりなど、ルールに反する着手をした場合にはイリーガルムーブになります。相手がイリーガルムーブを指した場合にはアービターに指摘をします。イリーガルムーブを指された側の持ち時間を一定時間増やすなどのペナルティが取られます。同じゲーム中に2回行ったら、負けになるなどのルールがある場合もあります。

実際には、対戦者同士で「なかったこと」にして、着手を戻してそのまま進めることも多い気がします(たぶん、本当はだめです)。

タッチアンドムーブ

チェスの大会では一度(意図的に)触った駒は動かさなければならないというルールがあります(駒の位置などを直したいときには「直しまーす」などと宣言して駒を動かします。海外の大会でも「フィックス!(fix)」などと言って駒の位置を直します。)

リザイン(投了)

試合で負けを認めること。アマチュアレベルではストレートに「負けました」と相手に伝えることが多い。世界のトッププレイヤーは時計を止めて握手を求めることで投了の意志を示したりもします。

その他にも自分のキングを倒して投了の意志を示すこともあります。

大会そのもの

チャンピオンシップ

その名の通りチャンピオンを決める大会のこと。world chess championshipであれば世界チャンピオンを決めます。その他ジュニアや国別などのチャンピオンシップがあります。

キャンディデイト

字義どおりには「候補」の意味。通常は世界チャンピオンへの挑戦者を決める大会のこと。以前は複数の候補者から勝ち上がりのトーナメントで決めていたが、現在は総当たり戦の大会で決めている。

オープン大会

参加資格がない大会のことです、誰でも参加可能です。「全日本選手権」などは予選大会で選ばれた人だけが出られる大会で、オープン大会ではありません。

その他

レーティング(Eloレーティング)

チェスにおける実力を示す数値指標のこと。単に「レート」と呼ばれることも多い。対局者同士のレーティング差により、勝ち/負け/引分け時のレーティング変化量が決まっており(計算ができ)、それに基づいて新たなレーティングが計算される。要するに勝てばレーティングが上がり、強い(レーティングが高い)相手に勝つとたくさん上がる。

Elo博士によって提唱されたため、Eloレーティングと呼ばれることもある。

この名称のために、強豪プレイヤーの中には「**さんはエロいから仕方ない」などと誹謗中傷を受けることもある

パフォーマンス

大会中の相手の平均レーティングと自分の勝率によって決まる値。レーティング制度では相手とのレーティング差により期待される勝率が決まるのだが、パフォーマンスとは当該大会での実際の成績を取るために必要だと期待されるレーティングのことである。このため、その大会時の瞬間レーティングと考えればよい。

例えば、大会での相手のレーティングの平均が1800で、自分の成績が50%であれば、パフォーマンスは1800である。

プリパレーション/オープニングプリパレーション

「準備」の意味だが、基本はオープニングの準備のことを呼ぶ。トッププレイヤーの場合には30手以上準備していることもある。相手の準備をいかに外すかも、トップレベルでのチェスでは重要になっている。

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