今回チェスの戦略の基本としてルークの使い方について記事にしていこうと思います。まずは初心者・初級者向けにルークの活用を図る上で大前提となるいくつかの事柄について確認しておこうと思います。
ルークの動きに関する説明は駒の動きの記事を参照ください。
ルーク、この使いづらいピース
ルークは将棋で言えば飛車と同じ動きをしており、強力なピースです。しかし、チェスのゲームの中ではなかなかうまく活用できない人も多いのではないでしょうか。その理由は以下の2点でしょう。
端に居る
まず、チェスの初期配置を見たとき、ルークは一番端に居ます。一般に中央付近で駒を活用すべしと言われると思いますが、なかなかルークを中央近くに移動させるのが大変です。ルークの横方向にビショップやナイトが塞いでいます。
ポーンを突くだけでは無理
味方の駒を攻撃に参加させるためには、自分のポーンの外側にピースを配置する必要があります。ナイトは初期配置から外に出られますし、ビショップはポーンを突くと斜めに出られます。
しかし、ルークは縦横にしか動けませんので、ポーンを突いただけではポーンが邪魔をして外に出られません。
ルークの活用法
上記のように素早い活用が難しいルークですが、結論から言えば、ルークは序盤の最初から活用する必要はありません。そこさえ納得してしまえばルークの活用法は明らかです。
キャスリングが基本
まずは何はともあれキャスリングが優先です。キャスリングはキングの安全とルークの活用が同時に図れる便利な手法です。これを活かさない手はありません。
キャスリングは前提としてキングとルークの間のピースを展開することになるので、ルークの活用が遅れてしまっても仕方ありません。
キャスリング以外の方法
では、常にキャスリングしてルークを使わなければならないかと言えば、そんなことはありません。皆さんもご存知の通り、チェスは常にキャスリングをするゲームではありません。以下のような2パターンもあるでしょう。ただし、基本はキャスリングであることは忘れないでください。
人工キャスリング
一つは、キングを数手動かしてキャスリングと同様のポジションを作り上げることです。「人工キャスリング」などと呼ばれることもあります。
中央のキング
キャスリングせずに中央にキングが居座ることもあります。Ke2などと上がることによりルークを端から出られるようにします。
端ポーンを突いてルークを出すのはNG
基本的に序盤の最初から端のポーンを突き、ルークをh1→h3→g3などとポーンの外側に出すのはNGです。現実問題として相手のナイトやビショップに狙われてしまいますし、序盤の貴重な3手をルークを出すためだけに使っていはいけません。
ただし、中盤ではOK
ただし、中盤でルークを上記のように活用することはごく一般的なテクニックです。ルークリフト(Rook lift)と呼ばれます。要するに端ポーンを突いてルークを出すのがよくないのは、序盤には他にやらなければならないこと(センターのポーン突き、ピースの展開、キングの安全性)があるからです。
上図では、a1のルークをa3経由でキングサイドに移動させます。
中央付近のポーンを交換する
前述のように、ルークを活用するためにはキャスリングして中央付近に移動させるだけではなく、ポーンを交換してルークの出口を作らなければなりません。
ルークを活用するためには事前にポーンを交換して開いたファイルに移動させるか、開きそうなファイルにルークを移動させる必要があります。
上図のポジションであれば、白はcxd5とすることでいつでもcファイルを開けるので、cファイルにルークを配置するのが正しいでしょう。
どちらのルーク?(which rook)
ルークをどのファイルに移動させるか、また2つのルークのうちどちらのルークをそのファイルに移動させるかはしばしば戦略上の重要な選択になります。
ルークを動かす際には、今後の展開を見据えて、どちらのルークをどのファイルに移動させるのが効果的か考えるようにしましょう。
上図のポジションであればcファイルに配置したいですが、どちらのルークをまずcファイルに置くべきか迷うところです。もし、キングサイドのポーンを突いて攻める可能性があるならばaのルークを移動させますが、a4, a5と突いていくならばfのルークをcファイルに置いた方がいいです。
どちらのルークを移動させるかで、その後の取りうるプランが変わってきますので、重要です。ちなみに上のポジションは私が適当に作ったので、どちらが正しいかわかりません。
まとめ
- ルークの活用は基本的にキャスリング以降(遅れる)
- ルークの活用にはファイルを開くことが必要
- どのファイルに配置するかは戦略的に重要
コメント