GM チェスレッスン ~開催記~

2021年5月2日、コロナ禍で全日本チェス選手権が中止になるなか、
ひっそりとGM Marian Petrov氏の無料オンラインレッスンを開催した。
今回のレッスンの経緯から内容まで振り返っていく。

スポンサーリンク

GMとは?

チェスで言うGMとは、グラムでもゼネラルマネージャーでもない。
国際チェス連盟により付与される最高位のタイトル「Grandmaster」のことだ。
GMを取得するには特定の条件を満たした複数大会でパフォーマンス2600以上、
FIDEレーティングが2500以上になるなどの厳しい条件がある。

現時点では、日本国内の大会で取得することは出来ず、
FIDEレーティングが2500以上の選手もいない。
日本人のGMは一人もいないのである。
FIDEレーティングリスト(日本)

スポンサーリンク

GM Marian Petrov

彼が何者か紹介しておこう。

ブルガリアのGM
ブルガリアのチェスチャンピオンに2回輝く。
オリンピアードでWalseチームのコーチを複数回務める。

Grandmaster Repertoireの著者としても有名。

The Modern Benoni (Grandmaster Repertoire)

経緯

さて、そんな有名なGMが突然なぜ日本人向けのレッスンをすることになったのだろう?
皆さんも疑問に思ったかもしれないが、私もなぜかよくわからない。

知り合ったきっかけは、突然TwitterのDMで
「僕、Chessdomで記事を書いてるんだ。日本のチェス界について教えてよ。」
と言われたのだ。

第一印象、誰だコイツでした。
適当に、他の団体に連絡してね~と返したのですが、
なんだかんだ女子選手権の記事に協力することになりました。
Japan Chess National Championship 2018 – Chessdom
Qin Ranran wins Japan Women Chess Championship 2018 – Chessdom

これが2018年だったので、Batsumi Olympiadで初めて会う。
その後、Olympiad 2020 日本女性チームのコーチに応募され、
色々関わる。からのコロナでOlympiad 2020中止。

コロナでチェス大会が中止になるなか
日本人向けにレッスンしたいんだけど、どうかな?」と連絡が。
需要あるか分からないので、Twitterでアンケートしてみたところ、
「参加したい」が66票。
じゃあ、協力するか…。

(いつやるの?今でしょ。)

全日本選手権とゴールデンウィークオープンの中止連絡を見た瞬間、
この期間にやるしかない、と独断と偏見で日程が決まったのでした。

開催ツール

Twitterのアンケートで通訳が欲しいかどうかも聞きました。
きれいに33票ずつに分かれていたので、2セッションやって、私が片方だけ通訳することにしました。

ツールをどうするか、いくつか検討したのですが、参加が簡単なZoomにしました。
しかし問題があり、Zoomの無料アカウントでは40分で強制終了してしまいます。
一つ目のセッションでは勝手がわからず、最後の質疑応答の途中で強制終了してしまいました。
二つ目のセッションでは時間を気にして、ちゃんと終えることが出来ました。

告知方法

Twitterのアンケートの66票で過信し、
Twitterだけで宣伝していました。
実際は、なかなか参加者が増えず、直前まで心配でしたが、
直前にTokyo Chess Meetupでも宣伝していただき、両セッション20名前後の方に申し込んで頂きました。

参加人数が多すぎても質問がしづらくなるので、ちょうど良い人数だったかなと思います。

また、Twitterを使った告知だったからか、
海外在住の方やOTB経験がない方*も多く参加されました。
(*NCSレーティング/FIDEレーティング無。chess.comかlichessのレーティング有。)

OTBで指してない方と知り合うことは中々ないので、貴重な機会でした。

レッスン内容

レッスンは、自身の対局を見せながら、

どんなアイディアがあるか
どんな手を読んでどの手を選択したか

といった自戦解説+質疑応答でした。

1st Session: Attacking play

1 e4 e6で始まるフレンチディフェンスに対して、白がどのようにキングを追い詰めたかを自戦解説

フレンチディフェンスについては、当ブログでも紹介予定ですが、
黒が狭くなりやすい特徴があります。
もちろん、黒からのカウンターや守りのアイディアもあるので、
それらを交わしながら白がキングを追い詰めていく試合運びは、
とても勉強になりました。

こちらは通訳有でしたが、難しい単語・表現はほとんどなく、
通訳担当としては助かりました。
チェス歴の浅い人にも分かりやすい表現で、かつ簡潔にを心がけて通訳頑張りました。

2nd Session: Improve your game → Endgame

こちらのセッションは事前予告とは違いEndgameがメインテーマになりました。
Endgameは将棋とチェスの大きな違いの一つでもあるので、
良いテーマかもしれないと話していたからです。

ここでは、試合の最初から見ていくのではなく、終盤だけ取り上げることで、
2試合の自戦解説でした。
終盤でどこに注目してプランを立てていくか等、多くの学びがありました。

両セッションで、質疑応答も盛り上がりました。
レッスンを聞くだけなら、YouTubeやビデオレッスンでも同じになってしまうので、
時間制約がある中でも質疑応答の時間に参加者と講師のコミュニケーションの機会が取れて良かったです。

今後

GM Marian Petrovさんに、今後も定期的に開きたいと言って頂けたので、
現在、次のレッスンを計画中です。

結局、参加者の多くは、両方のセッションに参加していたので、
通訳の需要がどの程度かは不明です。

ただ、やはりチェスは日本語のコンテンツは少ないので、
今後も必要に応じて通訳していこうと思います。

あと、日本で有料のチェスレッスンをやっている方がどの程度いるのか
わからないのですが、生徒の取り合い(?)にならないか少し心配です。

どちらかというと、本イベントがきっかけで日本のチェス教室を探してみたり、
チェス人口が増えたりしたら良いなと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました