私が全日本選手権2024前にトレーニングに用いていたメイト問題集です。とても面白いコンセプトで、オススメです。
今回紹介する本:Mate Threats and Defense – 1000 Tactical Examples
今回紹介するのは、基本的にはメイトの問題集なのですが、メイトを見つけることに重点が置かれているというよりも、メイトを防ぐ手段を意識して網羅しようというコンセプトの本です。私が購入したタイミングではアマゾンでの取り扱いがなく、ForwardChessで購入しました。
この本のユニークな点は、相手をメイトにする問題よりも相手のメイト狙いをどのように防ぎますかという問題がたくさん用意されていることです。
メイトを防ぐ9つの方法
そして、メイトを防ぐには9つの方法があり、3つのカテゴリーに分かれていると書かれています。
1つ目のカテゴリーは相手のキングを攻撃するというもので、
メイト、パーペチュアルチェック、ステイルメイトの3つです。ステイルメイトがここに含まれているのは、強制メイトのスレットがある場合、普通は相手のキングを攻撃して自分の駒をサクリファイスする必要があるからでしょう。
2つ目のカテゴリーは相手のピースに対する対抗策で、
elimination、deflection、interference、pinningがあります。意味が分からない人もいると思いますが、基本的にどれもメイトを狙っている相手駒を攻撃することによってメイトを防ぐ方法です。
3つ目のカテゴリーは味方駒の利用で、
逃走とサポートです。最後は直接自分のキングを守る手段になります。
そして、この3つのカテゴリーは、それぞれこの順番に考えるべきだと言っています。最初のカテゴリーほどより強制力が強いので、読みやすいですし、得られる結果もよくなるということでしょう。
具体例
少しわかりにくいかもしれないので、本書から簡単な例を抜粋します。
上図の4つのポジションはどれも黒クイーンがg2でのチェックメイトを狙っていますが、その防御の仕方がそれぞれ異なります。
一つ目のポジションは相手キングをチェックメイトしします。
2つ目は相手キングにルークを取らせてステイルメイトです。
3つめはチェックメイトに必要なf3のポーンを取ってしまいます。eliminationにあたる防御です。
4つ目はg2のマスを守ります。サポートですね。
メイトするには防御を学ぶべし
どうでしょうか?イメージがお分かりいただけたでしょうか。
この本では、各章で相手のメイトスレットから守る手を探す問題が、各防御手法ごとに章分けされており、最後の方でメイト問題が用意されています。
そう聞くとメイトと防御手法について学ぶ本ということだと思うかもしれません。それはそうなのですが、著者の意図としては、相手の防御策を網羅的に読まなければメイトできないということではないかと思います。そのためにありとありうるメイト防御策を学び、見落としがないようにする訓練をするということです。また、このような網羅的な読みはメイトだけでなくチェスにおける読み全体に重要なことなので、ただ単にメイトを学ぶという以上の意味があると思います。
まとめ
今回は相手のメイトスレットを防ぐことに特化しているように見せて、チェスの読み全体に重要な要素を鍛えてくれる(と私は思う)問題集を紹介しました。個人的にはとてもおすすめです!
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