Everymanchessの白番向けレパ本(1. d4 2. c4)

Everymanchessから出ている白番向けレパートリー本です。以前 Everymanchess の序盤本についてネガティブなことも書きましたが、白番向けならば比較的許容できます。初手d4で2手目にc4とするd4定跡としては王道の手順のレパートリーになります。

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今回紹介する本

Everyman Chess
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Everymanchess社から出ている白番向けのレパートリー本です。以前書評したように、 Everymanchess社 の序盤本は棋譜集の趣があり、それぞれのゲームが終盤まで丁寧に説明されているので、序盤本として読みにくい部分はあります。しかし白番向けの場合、黒番に比べれば狭いラインを追求していくわけではないので、そのデメリットも小さくなっている気がします。

著者のCyrus Lakdawalaは以前紹介したウルフアンダーソンのチョイスに沿った白番向けのレパートリー本の著者で、手堅い定跡選択をする人物ですが、この本では編集者にそそのかされて異なるアプローチをしたと述べています。そのことが序文に書かれているのですが、面白いので紹介します。

序文から抜粋

この本は私の40冊目のチェス本になる。40を過ぎた多くの人と同様に私も(チェスの)中年の危機を迎えている。結婚して15年にもなる男が突然ポルシェを買い、愛する妻を捨てて19歳も年下の若いガールフレンドに走る、というような。私の相棒のIM Tony Saidyが私のオープニング選択についてメールしてきた時にその危機が引き起こされたのだ。

本書序文より

要するに著者の通常の定跡選択はおとなしすぎるので、新しい本では攻撃的な定跡選択をと要請されて書いたのがこの本だということです。ただし、「常に攻める、決してやり過ぎない」というのが条件だったそうなので、ギャンビットだらけの定跡本ということではなく、なかなかよいチョイスをしているように思います。

定跡の選択

本書の中で選択されている定跡は、

King’s Indianに対してはPetrosian Variation(下図)

GrunfeldにはBf4としてロンドンに近い形、Benkoにはb5だけ取ってf3とするライン、QGDにはExchange Variation、slavには1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. e3。この形だとセミスラブプレイヤーにも同じように指せる。

といった選択で、がちがちのメインラインではなく、かといってマイナー過ぎるラインでもないので、バランスがいい選択だと思います。その中でも私が注目したのは、モダンべノニに対してタイマノフバリエーションを選択していることです。私も学生時代に使っていたこともある変化です。その変化の中では下図のような局面にもなります。

この局面を見て「楽しそう、指してみたい」と思う方なら購入を検討してもいいと思います。

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まとめ

Everymanchess社の白番向けレパートリー本です。定跡の選択のバランスがよく、使いやすい本であると思います。全部採用しても問題ないですし、困っている定跡の対策だけ真似してもいいと思います。d4プレイヤーであれば持っていてよい本だと思います。

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