本を読むにしても、ネット上の記事を読むにしても、チェスを勉強するには「棋譜」が読める必要があります。本記事ではチェスの棋譜の表記方法について説明します。

棋譜とは
棋譜とは、チェスのゲームの記録のことです。通常、指した人物、場所、年代、レーティングなどの情報と共に、ゲームで指された手を記載します。
チェスにおいては、プレイヤー自身で棋譜を書くことが一般的です。我々のような素人から世界チャンピオンまで自分で棋譜を取ります。近年では、駒を動かすと自動で指し手を記録してくれるボードもありますが、自分自身で棋譜を取るスタイルは続いています。
また、公式戦においては棋譜を取ることは義務になっています。トーナメントプレイヤーとしては、棋譜を書けるようにしておくことは必須なわけです。
マスの名前
チェスの8×8=64マスはそれぞれに名前が付いてます。縦の列をアルファベットのa-h、横の列を数字の1-8で表し、(アルファベット)(数字)で一つのマスを特定します。
下図のようにアルファベットと番号が交差したをアルファベット+数字で表記します。下図の例はc3とf6です。

棋譜の表記法
次に実際に棋譜の書き方を見ていきます。
動かした先のマスの名前で表記
基本的に動かした駒の行き先のマスを記載することで指し手を表記します。ただし、それだけだとどの駒を動かしたのか分からないので、駒の種類をアルファベットまたは駒の絵で表記します。
駒の種類の表記
駒の種類は
- キング:K
- クイーン:Q
- ルーク:R
- ビショップ:B
- ナイト:N
で表記します。ポーンについてはこのアルファベットや駒の絵を書かず、マスの名前のみ表記します。
書籍の場合にはアルファベットの場合と絵の場合がありますが、試合で自分の棋譜を書く場合には当然アルファベットがポピュラーです(駒の絵を描いている人っているんでしょうか、、、、)。まれにロシア語表記をしている人がいます。ロシア語だと綴りの関係でアルファベットの種類が変わります(私はよく知りません)。
実際の表記
上記の駒の種類の表記と移動先のマスの名前を組み合わせることにより指し手を表記します。
つまり、ナイトをf3に動かした場合には
Nf3
キングをh8に動かした場合には
Kh8
などと表記します。
一方で、ポーンをd4に進めた場合には、単に
d4
という表記になります。
駒を取る時はxで
相手の駒を取った場合にはアルファベットとマスの名前の間にxを挟んで表記します。
つまり、e5にいる相手の駒をナイトで取った場合には
Nxe5
と表記します。
一方で、ポーンで相手の駒を取った場合にはポーンが元居た列のアルファベットをxの前に記載することになっています。c3のポーンがd4の相手の駒を取った場合には
cxd4
と表記します。
ポーンの場合のみxを省略してcd4のような表記をする場合もあります。
同じ種類の駒が同じマスに移動できる時は
上記の表記の場合、同じ種類の駒が同じマスに到達できる場合に区別がつかないことが分かると思います。特にナイトで生じやすいです。そのような場合には駒の種類を表すアルファベットの後ろに元居た列を表すアルファベットまたは数字を挟んで表記します。
たとえば、元々b8に居たナイトがd7に移動した場合には
Nbd7
または
N8d7
と表記します。
アルファベットと数字のどちらを用いるべきかは、そのマスに到達できる同じ種類の駒の配置に依存します。要するに区別がつく表記の方を使うことになります。


上図であれば、左のポジションであれば、Nbd7、右のポジションであればN8d7と表記します。
その他特殊な表記
チェスの特殊な動きやルールに基づいた表記方法があります。
キャスリング
キャスリングは0-0または0-0-0と表記します。
0-0がショート(キングサイド)キャスリング、0-0-0がロング(クイーンサイド)キャスリングです。
0-0
0-0-0
チェック、チェックメイト
チェックについては指し手の表記の後ろに+を付けます
例:Bb5+
チェックメイトの場合には後ろに#を付けます。
例:Qg7#
アンパッサン
アンパッサンについては指し手の後ろにe. p.と追記します。
例:cxd3 e. p.
また、アンパッサンの場合にも当然ですが、ポーンが移動した先を表記します。上記の場合で言えば、ポーンはd3に移動したはずです。
プロモーション
プロモーションはポーンの移動先を書き、そのあとに=(昇格するピースのアルファベット)を書きます。
d8でクイーンに昇格する場合には
d8=Q
と書きます。
PGNファイル
チェスの棋譜をPC向けに保存するファイル形式としてPGN(Portable Game Notation)ファイルという形式が知られています。手作業でこのファイルを作ることはあまりありませんし、具体的な形式を知る必要はありませんが、様々なサイトで配布されている棋譜はこのPGNファイル形式がほとんどで、様々なソフトウェアやアプリで読込可能ですので、PGNファイルという棋譜を保存するファイル形式が存在することは覚えておきましょう。
その他には、有名なチェスのデータベースソフトであるChessbaseのファイル形式(cbhなど)が知られています。当然、Chessbaseで読み込むことに特化したファイル形式になります。
まとめ
今回は棋譜の書き方についてまとめました。
いかがだったでしょうか?難しいですか?え?これ書けないと大会に出られないなんて無理ですか?
いやいや、そこまで心配しなくても大丈夫ですよ。大会に参加している人も棋譜を間違えてとっている人たくさんいますから。後で復習できるように棋譜が再現できればOKですし、それができないこともしばしばあります。
以前Aが自分の棋譜がやばいという記事を書いていました。日本女子代表も書けてないんだから大丈夫ですよ!?


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