フロントアタック再考 ―全日本2024の実戦よりー

前回の記事では、ルークエンディングでキングをカットオフされてしまった場合の対処法、「フロントアタック」について解説しました。今回はその時紹介した私のゲームを元に、その内容をおさらいしてみましょう。

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ポジション from 全日本2024

下図は前回も紹介した実戦で現れた局面です。

このゲームはこの後、

56… Kd4 57 Rh4!? Re4 58. Rh5+ Kd4 59. Kf3? d5? 60. Kf2? Kc4 61. Kf3? Re7

と進み、明確な黒勝ちになりました。

上図の局面では黒の次のd4が防ぎようがなく、キングがカットオフされた形でポーンを5段目まで進められてしまったので、黒勝ちです。

このゲームでは白黒双方にミスがありましたが、その局面を見ていきましょう。みなさんもそれぞれ考えてみてください。

After 56… Kd4

白はここでRh4としましたが、実はRh4でもまだドローでした。ただ、ここではロジカルで明確な手がありました。

57. Rd1!

がその手です。フロントアタックの準備をしていることが分かると思います。

57… d4 58. Kf2 d5 59. Re1!

ルーク交換の後がドローだということを理解していなければなりませんが、キングよりもポーンが前にいるのでこれはドローです。

After 58… Kd4

先程のポジションに比べるとここはかなり難しいです。本譜の手は59. Kf3。理解できる手です。黒に次にRf4と指されてさらにカットオフされてしまうと絶望的に思えるからです。しかし、59. Rh1 Kf4としたポジションは実はドローです。

白は2ファイル(列)カットオフされていますが、黒のポーンがまだ3段目にいるため、このポジションはドローになります。いや、これは難しいですよね。

After 59. Kf3

私はここでd5と指しましたが、この手は普通にドローになります。

ここで黒が勝てる手は二つしかありませんが、分かりやすいのは

59… Re1

でしょう。

白からのフロントアタックを防ぐ手です。

60. Kf2 Re5 61. Rh1 d5

これで黒勝ちです。と言われてもまだ難しいと思います。

白はKf2として1段目から黒ルークをどかしましたが、下がったことでこのキングはe5のルークを攻撃できる位置にいません。また、ルークが既にポーンを守る位置にいるので、ここでフロントアタックをしてもキングに上がられるだけ(キングでポーンを守る必要がない)です。

After 59… d5

一方で、私が指したd5に対しては白はどのように守ればよかったでしょうか?これは分かる人も多いのではないでしょうか?

答えは

60. Rh1!

です。

次にチェックを入れられればフロントアタックでドローになることは分かるのではないでしょうか?一方で、黒がすぐにc4と上がったらRe8とポーンを攻撃します。キングが戻れば繰り返しになりますし、Re5とルークでポーンを守ればKf4です。

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まとめ

本記事では前回解説したフロントアタックを私のゲームを元に復習してみました。どうでしょうか?理解が進んだでしょうか?「いや、難しいんだけど」という人も多いかと思います。

エンドゲームというと「覚えていればできる」と思っているかもしれませんが、そう簡単ではありません。確かに、初歩的なエンドゲームは覚えていれば再現ができ、終局まで読み切れることも多いでしょう。しかし、少し複雑なエンドゲームになると分岐も多くなり、ポーンエンディングなどの他のエンドゲームの知識を組み合わせることになり、一気に複雑化します。

私自身は、エンドゲームは知識を元に考えながら指さなければならないフェーズと意識するようになってからだいぶ改善した気がします。

ま、そうは言ってもこのゲームでもミスをしているので、偉そうなことは言えないんですけどね!

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