Move order

オープニングレパートリーを構築する場合、Move orderが非常に重要になります。例えば下図のような局面で皆さんはどう指しますか?
1. d4 Nf6 2. c4 e6

　通常3. Nc3または3. Nf3と指す人が多いと思います。しかし、その時点で白のオープニングの選択がある程度狭まってしまったことを認識しているでしょうか?
　実は3. Nc3または3. Nf3の後、黒はNimzo IndianやQueen’s IndianあるいはBogo Indianにする必要はありません。3. … d5や3. … c5とすることでQGDやベノニディフェンスにトランスポーズすることが出来ます。このことは特に3. Nf3とした場合に大きな意味を持ちます。既にNf3と指していることから、QGD exchange variationのNge2とナイトを展開する変化を選ぶことが出来ません。
また、ベノニにおいては白が有望とされている1. d4 Nf6 2. c4 c5 3. d5 e6 4. Nc3 exd5 5. cxd5 d6 6. e4 g6 7. Bd3 Bg7 8. h3 0-0 9. Nf3の変化を用いることが出来ません。
　つまり、白はNimzo Indianを避けるためにはQGDやベノニにおける特定の変化を指すことをあきらめなければなりません。このことはオープニングレパートリー全体に影響を与えます。
　黒の側から見ても重要な点があります。上記にあげたようなQGDやベノニの変化が嫌ならば、 1. d4 Nf6 2. c4 e6の手順から入ればよいわけです。もし白が3. Nc3ならばNimzoを指すか、もしくはあきらめてQGDやベノニを指せば良いわけです。
このようなMove orderに関する問題は様々な定跡で現れます。機会があればこれからも取り上げていきたいと思います。