自戦記 from Japan League 2012 (2)

前回の続きです。
黒はひとまずポーンを取り返すことには成功しましたが、まだまだやや悪いぐらいです。しかし、白の側にいきなり小さなミスが出ました。
20. f3?

e3のマスを弱めます。キングがいるために、cファイル、eファイルともに入ることの出来るマスがありませんでしたが、この手でe3のマスへの進入の可能性ができました。白はRg4を恐れていたようですが、g3から逆にルークがトラップされます。
20. … Re6 21. Re1 Rc6 22. Rc1 Re6
このあたりお互いの駆け引きです。黒にルークを重ねられたくない白はルークの交換を迫りますが、これに応じては黒のチャンスが無くなります。ただ、黒にしてもバックランクの危険もあり、そもそもコンピュータは白優勢を主張しています。
23. Re1 Ra6
こうしてaポーンに当てることでh6を指すテンポを稼ぎます。
24. a3 h6
これでひとまずバックランクの危険は無くなりました。
25. Be7!?

この手は予想外でした。h4からf2に戻るのが自然だと思いました。また、どこかでビショップを狙われてテンポを稼がれることも考えられます。
25. … Rc6 26. Rc5 Rb6
このあたり、せこくポーンを狙って白を揺さぶります。実際の所は、この局面から勝つのは容易ではないと思っていましたし、僕自身、白が良いのではないかと思っていました。
27. b4 Ra6 28. Ra1?

ここでようやく白に決定的なミスが出ます。Ra5としてRxa5 bxa5からドロー気味のエンドゲームを戦うべきでした。こうなると黒がドローを目指して戦う展開になります。本譜ではg7のビショップに間接的に狙われているa1のルーク、a6のポーン、守られていないe7のビショップがtacticsを呼び込みます。
28. … Re6!?
しかし、wrong rookを選んでしまいました。正着はRe8。a3のポーンへの攻撃を維持しつつ、ビショップを狙うべきでした。
29. Bh4 Re3?
コンピュータの評価を見る限りではこの手はdecisive mistakeです。しかし、弱められたe3への進入と黒の次の1手を指す誘惑に勝てませんでした。
30. Bf2 Rd8

おそらく、相手にすれば予想外の手ではなかったでしょうか?Rae8を考えていたと思います。それならばRe1で何でもありません。ここでRe1はa3のポーンが落ちます。かといって放っておけばRb3、Kc2、d3+、Bxa1となり、パスポーンを止めるために白はピースを切らざるをえません。しかし、この手には欠陥がありました。
31. Ra5?
正着はRa2!。a3を守りつつピンを外すこの冷静な1手が黒の手筋を崩壊させます。黒はRc3として耐えるぐらいしかありません。
31. … Rb3 32. Ra2 d3 33. Be3 Bc3+ 34. Kc1 Re8
最終局面でのリザインはやや早い気もしましたが、既に白は駒損を避けられません。
0-1

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