チェス戦術大全3 ー中間手とその周辺ー

ちょっと適切な言葉が分からなかったので怪しい見出しになってしまいましたが、当然と思われる応手以外の手を指されるタクティクスです。定義から分かるように見落としやすいタクティクスで、ブランダーの一因になります。

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中間手・インターメディエイト ムーブ・ツウィッシェンツーク
Intermediate Move/zwischenzug

インターメディエイト ムーブは、駒を取られた時など、一見すれば取り返す手しかないように見える場面で別の手を指す(タクティクスがあるので指すことができる)ことです。中間手と呼ばれることもある気がします(自信なし)。

また、ドイツ語のzwischenzugも表記としてはよく知られているが、ツウィッシェンツークという発音が、(エンドゲームで用いられる)ツークツワンクと比べても格段に発音しづらいため、日本語で使われることはあまりない。

下図のポジションはチェスの序盤でよく見るタクティクスです。白はNd5としてクイーンをぶつけています。

この手に対して黒がQxd2とクイーンを取ってきたらどうするべきでしょうか?Bxd2とクイーンを取り返すしかなさそうですが、、、、

白はNxe7+と中間手を指して、1ポーンを取ることができます。チェックで取っているので、次にBxd2とクイーンを取り返す余裕があるわけです。

このように、チェックはインターメディエイト ムーブでよく出てきます。チェックの可能性には常に気を付けるようにしましょう。

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カウンタースレット
Counter-Threats

相手から駒を狙われている場合などに、単に守ったりかわすのではなく、相手の駒を攻撃する狙いを作ることによって局面を打開することです。これもインターメディエイト ムーブの一種ですが、チェックや相手の駒を取る手ではない分見逃しやすい手筋であると思います。

下図のポジションではa4のビショップに逃げ場がありません。ああ、ピースダウンか、と思うのはちょっと早いのです。

白番

Nd4として相手のビショップを攻撃します。ナイトがどくことによって白ビショップの逃げ道ができていることもポイントです。

このようなタクティクスを一般化することは難しいのですが、ポイントは「狙われたら逃げる」というマインドを変えることです。どんな時でも反撃できないか意識しましょう。

デスペラード
Desperado

デスペラードとは攻撃を受けている駒を単に取られるのではなく、他の駒にサクリファイスすることによって成立するタクティクスです。

下図は、白のルークにクイーンを攻撃された黒が、クイーンを逃げるのではなく相手のクイーンを攻撃しています。ひとつ前の項目のカウンタースレットの手です。しかし、ここではブランダーでした。

白はクイーンを逃げるのではなく、c8のルークを取ってしまいます。黒のクイーンへの攻撃が継続しているのがポイントです。

黒も同じように白のルークを取ってしまえば問題がないようですが、、、、

白はf8のルークをチェックで取ってしまいます。チェックなので、取り返すしかありません。

白のルークアップになります。この例でもチェックが重要な役割をしていました。

また、最初の局面で黒番であれば、同様に黒がルークアップになります。

ライフライン
Lifeline

日本語で「命綱」を意味するタクティクス。ChessMoodによれば、私が書評でも紹介しているPump up your Ratingで名付けられている名前だそうです。名前は知りません(覚えていなかった?)でしたが、このような手は実戦でもよく見ます。

ライフラインは、相手からダブルアタックを受けている時などに、片方の駒が逃げる手によって相手の駒を攻撃し、それによってもう片方の駒の逃げ道を作ることです。具体的には相手の駒との交換を強制し、もう片方の駒で取り返します。この取り返す動きによって逃げることができるわけです。

下図の局面では、白のクイーンとナイトがポーンフォークに掛かっています。一見するとピースダウンが避けられないように見えますが、、、

Qd4として、クイーンを逃げながら黒のクイーンを攻撃します。Qxd4ならばNxd4で逃げられますし、黒クイーンが逃げるようならば、次の手でナイトを逃がして一安心です。

まとめ

今回は相手の攻撃などに対して、単に応じるだけではなく反撃することによって、駒得をしたり、あるいはピンチから逃れたりするモチーフについてまとめました。チェスのモチーフの中で最も見逃しやすく、ブランダーの要因になりやすいので皆さん気を付けてください。

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