candidate? ー観るチェス勢のための解説ー

今回は久々に海外のチェスのトーナメントに関する記事です。本日からコロナの影響で中断していたcandidateトーナメントが再開します。Twitter界隈がざわついており、気になっているけど実はわかってないという「観るチェス」勢のために簡単に解説します。

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candidateって?

チェスの世界では割とcandidateという言葉が使われます。candidate自体は「候補」という意味で、candidate moves (候補手)、candidate master(マスター候補)などです。今回みんながcandidate、candidateと言っているのは、FIDE Candidates Chess Tournamentのことです。

さらにいえば、このトーナメントは世界チャンピオンのマグヌスカールセンへの挑戦者を決めるトーナメントなのです。

つまり、世界選手権挑戦者「候補」を決める大会なのですよ。話題になるはずですよね。

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どんな大会か

8人のプレイヤーによる総当たり戦です。不公平がないように白番黒番をそれぞれこなすので、全部で14試合です。

対局の時間設定は最初に100分の持ち時間、40手後に50分加算され、さらに20手後(合計60手)に15分加算されます。また上記に加えて1手30秒のフィッシャーモードでの加算があります。

余談ですが、昔はマッチ形式の勝ち抜き戦(日本語で言うトーナメントですね)で挑戦者を決めていました。変更された理由は知りませんが、長くかかりすぎるとか相性による運があったりとかはありそうです。

昨年に7試合目まで終了した時点で、コロナの感染拡大を受けて中断されました。残り7試合です。この長い中断期間がトーナメントの結果にどう影響するかが注目されています。

今回の候補者一覧

Fabiano Caruana (アメリカ合衆国)

Fabiano Caruana 2013(2).jpg
Wikipediaより

カルアナは前回の世界チャンピオン挑戦者。実力的にもレーティング的にもチャンピオンのカールセンを追う最右翼だが、このトーナメントでは出遅れた。

Ding Liren (中国)

Ding Liren 1, Candidates Tournament 2018.jpg
Wikipediaより

次々と若いGMが出てきて、正直あまり把握できない感じの中国のGMですが、このDing Lirenがもっとも世界のトップに近付いているGMといっていいでしょう。少なくともレーティングとしてはカールセン、カルアナに次いで世界3位に付けています。ただし、本トーナメントでは先輩にいじめられて沈んでいます。

Wang Hao (中国)

Hao,Wang 2018 Karlsruhe.jpg
Wikipediaより

同じく中国のスーパーGM。candidateトーナメントの前は「いやぁ、後輩のDing Lirenみたいに必死になって勝負にいけないんだよね、僕向いてないかも」とか言っていたのにそのDing Liren1Rで勝ってしまい、調子を崩させた鬼畜な人です。

Alexander Grischuk (ロシア)

Alexander Grischuk 2013.jpg
Wikipediaより

今大会の最年長参加者です。若いころから強豪かつイケメンで知られ、某国内女子プレイヤーに言わせるとグリシュクが一番らしい。まぁ、オリンピアードで見てきた人の言葉なので正しそうです。昔、元世界チャンピオンのカルポフが次代の世界チャンピオン候補としてグリシュクについてコメントを求められ、「才能はある、だが何かが足りない」と言っていて爆笑した。なんか分かる。

Ian Nepomniachtchi (ロシア)

Ian Nepomniachtchi Tal Memorial 2018.jpg
Wikipediaより

かつてはチェス大国でトップを独占していたロシアですが、彼が今最もロシアで期待されているプレイヤーでしょう。レーティングランキングもDing Lirenに次いで4位につけています。前半戦をトップタイで折り返しています

Anish Giri(オランダ)

AnishGiri14a.jpg
Wikipediaより

かつて日本に住んでいたこともあるギリ、手堅い棋風で知られ、ドローばっかり取ることをよくいじられている。

Maxime Vachier-Lagrave(フランス)

Maxime Vachier-Lagrave, 2016-07.jpg
Wikipediaより

マキシム・ヴァシ、、、、・ラグラーブ?という難しい名前の読みも影響して、MVLというかっこいい異名が付けられているフランスのトッププレイヤーです。フランスは大国ですが、チェスに関しては世界のトップと言えるようなプレイヤーが今まであまり思い浮かびませんでしたが、このMVLは間違いなく世界のトップに近い。前半戦をトップタイで折り返しています

Kirill Alekseenko(ロシア)

KirillAlekseenko19.jpg
Wikipediaより

すまん、全く知らんのだ。主催者による推薦(といっても条件はあるらしい)によって選ばれたそうです。

前半戦の結果

Rk.NameRtg.Nt.Pts.n12345678Perf.
1Nepomniachtchi,I27744.570½½111½2874
2Vachier-Lagrave,M27674.571½½½½1½2875
3Caruana,F28423.57½½½½½012763
4Grischuk,A27773.57½½½½½½½2772
5Giri,A27633.570½½½½½12774
5Wang,H27633.570½½½½1½2774
7Ding,L27912.57001½½0½2668
8Alekseenko,K27042.57½½0½0½½2680

念のため、1が勝ち、1/2がドロー、0が負け。

どこで観戦できるか

普段からネットでチェスをやっている人であれば、そのサイトやアプリから見れるかもしれません。

スマホであればFollowChessというアプリで観戦することができますし、Chess.comでも見れます。あとはChess24というサイトも中継に力を入れていることで有名です。どこのサイトも基本的に無料で観戦可能です。サイトによってディレイ時間(完全なライブではなく、すこし時間が遅れる)が違うかもです。

まとめ

本日から開始されるcandidateトーナメントに合わせて、簡単な解説記事を書きました。実は全く知らないけど、誰にも聞けなかったんだよねって人もいたのでは?また、トーナメントの行方についても記事にするかもしれません。

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