A Cunning Chess Opening Repertoire for White
本の概要
- 白番用のレパートリー本(1.d4 2.Nf3)
- インディアンディフェンスへの対応がCunningか?
- すべてではなく一部の変化を採用するのが吉
Cunnningというのは狡猾なというような形容詞です。今回紹介するのは初手d4だけどc4は遅らせるレパートリー本です。ずるいレパートリーという意図だと思います。ずるいというぐらいなので、比較的マイナーな変化を扱っており、黒が知らないと簡単に勝てる、というような意図だと思います。しかし、下記に書いたように、1.d4 d5系にはそれほど変な変化を扱っておらず、インディアン系(1.d4 Nf6)で変わった変化を採用しているという印象です。そこまで変な定跡書という印象ではないです。
コンテンツ
QGDにはBf4
クイーンズギャンビットディクラインドのBf4バリエーションは、メジャーではありませんが、そこまで変わった手ではないですね。
Slavには4.e3
1.d4 d5 2.Nf3 Nf6 3.c4 c6 4.e3はスラブにもセミスラブにも同じ形で臨めるので、白としては省エネの定跡。とはいえ、これもかなりメジャーな定跡だと思います。
Nimzoは指さずにTorre Attack
まず最初のマイナー変化はTorreです。
1.d4 Nf6 2.Nf3 e6 3.Bg5
白は先にBg5としてナイトをピンにします。本書ではこのTorre Attackだけで4章を費やしており、いくらNimzoを避けられるといっても、こちらを勉強するのも大変だな、ということで、結局この変化を私は採用しませんでした。
King’s Indianにはフィアンケットだが特殊
King’s Indianに対するフィアンケットバリエーションはよく指される形で、珍しい変化ではありませんが、ここで推奨されているのは白から早い段階でa4, a5と突いていく変化で、ちょっとほかの本では見たことがありません。
Grunfeldにもフィアンケット
キングズインディアンとグルンフェルドもトランスポーズする可能性がありますので、同様にフィアンケットを採用しています。私はこの項目を読んでおらず、フィアンケットバリエーションに詳しくないので、変わった変化を採用しているかどうかわかりませんでした。
べノニ、ダッチにはc4指さない
べノニ、ダッチにはc4を指さないマイナー変化を採用しています。
まとめ
以上のようにインディアンディフェンスにマイナーな変化を採用しています。正直、この本のオープニングレパートリーをすべて使用する気にはならないと思います。自分のレパートリーの一部を上記のマイナー変化に置き換える場合、またはサプライズウエポンとして用意しておく、というのがこの本の正しい使い方かと思います。ただし、1.d4 2.Nf3を前提としたレパートリーなので、自分のレパートリーの一部を置き換えた場合、手順違いに対応できない可能性もあります。ま、そこまでみんなレパートリー作りこんでないですよね。
また、この本はKindle版を非常に安く設定しており、2021年4月時点で1000円以下になっています。上記の変化に興味を持ったら買ってみてもいいかもしれません。
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