Netflixのクイーンズギャンビットのヒットもあり、「チェスって物語のモチーフとしていいんじゃない?」と思った方も多いかもしれません。実は、残念ながら長期連載にはなりませんでしたが、この10年の間にチェスをモチーフにした漫画が2作連載されました。本記事はチェスをモチーフにした漫画2作と、私がチェスのトーナメントプレイヤーとしてモチベーションの維持に一役買っているボートゲーム漫画2作の紹介です。
盤上のポラリス
チェスをモチーフにした王道少年漫画
1作品目は盤上のポラリスです。2015年-2016年に連載されていました。
簡単なあらすじ
とあるきっかけ(当然女がらみ)でチェスに出会った少年一兵が、ライバルや仲間の存在によって成長していく、、、という王道少年漫画なのですが、短期連載になったこともあり、成長物語を描くことなく終わってしまった、という印象でした。
ブリッツ(早指し)だけ強いとか、ドローばっかり狙っているとか、よいキャラクターを設定できていたと思うので、話を膨らませる余裕なく連載終了したことは非常に残念に思いました。
実際の日本チェス界との関連性
盤上のポラリスは連載にあたって小島慎也さんが協力していましたし、作者の方も取材をしていたでしょうから実際の日本のチェス界を連想させるシーンもありました。
長崎のチェス
主人公の一兵は長崎の離島に住んでいるという設定で、チェスを習うために長崎のチェスクラブに通います。そのチェスクラブの場所になっている喫茶カパブランカは長崎の地球館がモデルになっていますね。長崎チェスサークルの活動場所になっていた場所です。
大会運営しているあの人
また、ジュニア選手権で大会運営している人、どう見てもあの人ですよね、どう見ても、、、
クロノ・モノクローム
異世界ジャンルのチェス漫画
2作目はクロノ・モノクロームです。2014年に少年週刊サンデーで連載されました。
簡単なあらすじ
主人公の犬伏 黒六(いぬぶせ くろむ)は元々有望なジュニアのチェス選手でしたが、とあることがきっかけで相手と向かい合って座ることができなくなり、チェスを辞めざるを得なくなります。
それでも黒六はネットチェスを続けていましたが、ある日ネット対戦中に18世紀のウィーンへとタイムスリップしていしまいます。そこでチェスを指す人形の中の人になってチェスを指すことになる黒六、歴史上の人物と邂逅しながらチェスを指すことになるのですが、、、、
チェスを指すトルコ人形
この漫画はチェスだけでなく、チェスを指すトルコ人人形をモチーフにしています。トルコ人人形とは18世紀作られたチェスを指す人形で、中に人間が入って操作していたのですが、人形が次々人間を破るので当時評判になったそうです。
なぜだかよくわかっていないのですが、このチェスを指すトルコ人形というモチーフはチェス自体よりも日本ではメジャーなのではないかとさえ思わせられます。このトルコ人人形を扱ったwikipediaの日本語のページもありますし、同じくチェスを指すトルコ人人形をモチーフにした小説作品として、小川 洋子さんの猫を抱いて象と泳ぐがあります。
個人的に好きなボードゲーム漫画2作
私のような素人チェスプレイヤーが、多くの時間をチェスの勉強に割くにはモチベーションの維持が大変でした。なんだかやる気が出ないなぁという時には以下の2作品が私を支えてくれました。
ヒカルの碁
まずはヒカルの碁です。言わずと知れた、と言いたいところですが、このヒカルの碁も随分昔の作品になってしまい、もしかすると若い世代の方は名前は聞いたことがあるけれど読んだことはないかもしれません。
簡単なあらすじ
ある日おじいちゃんの囲碁盤になぜかとりついていた天才囲碁棋士・藤原佐為がヒカルに取り憑き、その超人的な強さをヒカルを通して発揮しながら、ヒカル自身も囲碁の世界へと導いていくという話です。
ヒカルの碁の魅力
この漫画、もう最初から最高なんです。第2話で、ヒカルののちのライバル・塔矢アキラが初めて佐為と対戦したシーンがたまりません。
これは…これは最善の一手ではない
ヒカルの碁 第2話 塔矢アキラ
最強の一手でもない…
ボクがどう打ってくるか試している一手だ!
ボクの力量を計っている…!
遥かな高みから…
僕を試しているんですよ?遥かな高みから!
もう掴みはOK、私の心を鷲摑みでした。
ヒカルの碁はもちろんヒカルの成長物語なわけですが、その間には部活の仲間であったり、プロを目指す院生の仲間、同じプロになったライバルたちがいます。才能も人それぞれですし、囲碁に向き合う姿勢もそれぞれです。それぞれが自分の能力に向き合いながら、それぞれの領域で勝負をしていくその姿に一トーナメントプレイヤーとして共感しました。
3月のライオン
もう一作品は実写映画化もされた今も連載中の3月のライオンです。
簡単なあらすじ
家族を事故で失った桐山零は将棋棋士の家で養子として育てられる。義理の家族とのぎくしゃくした関係を抱えながら将棋のプロ棋士になった零は、家を出る。家を出た零は三日月町の川本家の人たちと出会い、傷ついた心を癒しながら将棋棋士としての戦いに身をゆだねていく、、、
3月のライオンの魅力
もしかすると少女漫画調の絵柄で敬遠されている方もいるかもしれません。甘っちょろい話なんでしょ?って思っているかもしれません。しかし、この漫画の連載雑誌はあのヤングアニマルですよ?あんな男くさい雑誌の中で甘っちょろい話が生き残れるわけないでしょう!
あの絵柄で、棋士たちが熱い生き様を見せてくれるのがいいんですよ。連載が途絶えがちな漫画みたいですが、今後の展開を楽しみにしています。
最後に島田さんの名言を置いておきましょう。
「生きてる」って気がするぜぇ
島田開
どっちが悪夢かとことん味わってやろうじゃないか
島田開
まとめ
いずれも短期連載で終了してしまったチェスマンガ2作と名作ボードゲーム漫画2作を紹介しました。現在のチェスの日本での普及状況を考えれば、この10年で2作も連載されたことは奇跡にも思えます。来るのか?とうとうチェスブームが、この日本に?という儚い夢を見せてくれました。長期連載の人気チェス漫画が日本にチェスブームを巻き起こす未来に期待しましょう。
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