Tokyo Open 1R S,E (1722) – S,Z(1607) 1-0 A67
さて、東京オープン初日、会場に行ってみると見慣れた上位陣の姿がありません。S君は東京で会いましょうとまで言っていたのに…。しかも、自分はレート順で5番目で上位3人がバイでいないため2番ボードでの初戦となった。
1. d4 Nf6 2. c4 c5 3. d5 e6 4. Nc3 exd5 5. cxd5 d6 6. e4 g6 7. f4 Bg7 8. Bb5+
S,Zさんとは以前一度だけ対戦。同じ白番でExchange upから負けてしまった。この試合も前回と同じでBenoni DefenceのタイマノフVariation、黒が知らないと受けにくい。たとえば、Nbd7とするとe5からの強襲を喰らう(それも定石変化ですが)。Bd7などとすると白の思う壺でさらに悪い。この試合、黒は正確に対応した。Nfd7が一番ベノニらしくて受けやすい変化。
8 … Nfd7 9. a4 O-O 10. Nf3 a5?!
不思議な手。おそらくNa6にBxa6とされるのを嫌がったのだと思うが、Bxa6は指さない。
また、この手によってa6でビショップを追い払う手が使えなくなったことが後々のゲームにも効いてくる。
11. O-O Na6 12. Be3 Nf6
このあたりからe5を突けるか突けないかという攻防になる。もし今e5と突くとNg4でビショップに当たりその後ポーンを落とされるため突けない。次の手はそのNg4を防いだ。
13. h3 Nb4
さて、ここでNb4がd5の地点を押さえているためe5は突けないように思える(突くとd5のポーンがとられちゃいます)。が、
14. e5!
突けるんです。dxe5にはBxc5でエクスチェンジアップ。b5のビショップが効いてます。このビショップにe8を抑えられたままでは黒は厳しい。
14 … Nh5
ここではパッシブでもNd7やNe8として方が粘りがあった。既に白がだいぶ良い。
15. Re1
h5のナイトは戻る場所が無い。g4と突きたいがNg3でルークにあたるのが少し嫌。ルークをよけたことでg4が完全にスレッドになる。しかしすぐにg4とついても(ナイトは取れないが)ポジション的には良かったようだ。また、Ne4と指すのももう一つのプラン。試合中はd5のポーンが取られるので無理と思っていたが、やはりBxc5が炸裂してエクスチェンジアップ。
Bf5 16. g4 Bc2
g4のフォークをクイーンに当てることでかわしたがh5のナイトはもう助からない
Ng3にはBf2でe4にも逃げられない。
17. Qd2 Nxf4
ナイトはいずれにしろ助からないが他の手のほうが良い気はする。
18. Bxf4 f5 19. g5 dxe5 20. Nxe5
このあたりでタクティカルな狙いを思いつく。この考えに囚われてしまったことがブランダーの原因。
Be4 21. d6
白マスビショップの道筋を開ける。
21 … Nc6 22. Bc4+ Kh8 23. Nxg6+
痛、やってしまった。単純にNf7+、Rxf7でエクスチェンジを取っておけばよかった。
hxg6 24. Qf2 Bd4
ショッキング!!串刺しにされたことというよりg7の地点を空けられたことがつらい。Qh4がメイトスレッドではなくなった。
25. Re3 Kg7
25 Be3ではBxe3、Rxe3からQxg5+とポーンを取られて嫌な感じ。ルークをはさむことで白はエクスチェンジダウン決定だがこれで黒が優勢かというとそうでもない。フリッツ君によると黒の最善手は25 … Qd7でこれで黒がやや優勢。それ以外は白が良い。本譜のKg7やBxe3の方が自然に見えるが駄目らしい。ということは実践的にはまだ白優勢と考えていいだろう。
26. Nb5 Be5!?
ここでルークを取らずに逃げるのは不可解に見える。が、確かに黒のキングは危うく、黒マスビショップを失えば支えきれないという考え方も理解できる。そうは言ってもこれで僕は勝ちを確信した。
27. Rd1 Qd7 28. Nc7
あまりにも厳しい1手。狙いはNxa8ではない。Ne6+である。黒キングはhファイルに逃げればQh4からのメイト、g8やf7に逃げればデイスカバードでクイーンを失う。これで当初のタクティカルな狙いが生かされたことになる。満足。
28 … Rae8
悲しいルークの動きだ。
29. Nxe8+ Rxe8
これで駒得をして、あとは決めるだけである。駒交換を進めていけば勝ちは近づくが無為に進めると失敗しかねない。また白はパスポーンを持っているのでこれを使って相手のピースを押さえ込めば反撃をさせずにすむ。
30. Bxe5+ Nxe5
Rxe5にはQh4が再びスレッドになるのでナイトで取るしかない。
31. Bb5 Bc6
串刺しを防ぐためにさらに交換が進む。
32. Bxc6 bxc6
ここもポーンで取るしかない。クイーンで取ればRxe5からd7でパスポーンが止らない。Nxc6でもRxe8からd7で決まり。
33. Qh4
しかし、こちらでも決まってしまう。Qh4の狙いが実現できて本当に良かった。
33. … Kg8
Rh8の方が良いと思うが、それでも34 Qf4 Ne7 35 Re7で勝負あり。
34.Qh6 Re6 35. Rxe5 Rxe5 36. Qxg6+
ルークを守るためには36 … Kh8 37 Qf6+ Qg7とするしかないが、単純にクイーンを取ってd7でパスポーンが止らない。黒リザイン。
1-0
というわけで1Rを勝利しました。東京オープン優勝記念ということで全試合公開しようかと思いましたが、結構大変ですね。年内には終わらないかも(途中で立ち消えかも)。結果から見るとこの試合の対戦相手のS,Zさんが東京オープン2位でしたので、この試合が結構重要だったわけです。途中ひどいブランダーもありましたがなんとか勝つことができて、いつもと違って上々スタートを切りました。
2Rへ続く?
コメント
図が多くてわかりやすいですね。
<2Rへつづく?
ぜひ!