Ernst Gruenfeld vs Alexander Alekhine

Ernst Gruenfeld vs Alexander Alekhine
前回興味深かったと言った点について


 上図は Queen’s Gambit Declined Orthodoxで7 Rc1 c6とした場面。ここで既に駆け引きが始まっていて、白はf1の白マスビショップの展開を遅らせている。白が白マスビショップを動かした瞬間に黒はdxc4として白Bxc4で白に手損をさせようと狙っている。白は1度で取れるc4をビショップを2度動かして取ることになるので手損になるわけです。
 といっても、8 Bd3 dxc4もメインの定石の一つで白としてはそうなっても構わないわけですが、敢えてビショップの動きを控えて黒がdxc4を指すことを待ったり、dxc4を指したくないがゆえにポジションを崩すような手をさすことを狙うのもこのポジションでの重要な考え方です。
上図から
8 Qc2 a6
9 a3 h6
10 Bh4 Re8!
となって下図になります。


 白黒共にどちらかというと待つ手を指していますが、The Mammoth Book Of The World’s Greatest Chess Gamesの解説によると黒の手のほうが目的を持った手だということです。具体的には
h7はいずれ白から狙われる地点になる(たとえばビショップがc4、a2、b1と来てh7でのメイト狙いなど)。そこでh6と指すことでQh7でポーンを取られない、Re8とすることでQh7がメイトにならないという利点が黒の手にはある。
一方で白のQc2、a3といった手は悪くはないにしても必ずしも白のポジションをよくする手ではない。
 こういったことが8 Bd3がメインの定石になっている要因と考えられる。(8 Qc2もメインランですが)ただしサドラーのQueen’s Gambit Declinedではh6に対してBf4で白良しとのコメント。また、同じ本によれば8 Qc2 Re8は白がよいらしい。a6やh6が入ると状況が変わるのか、それともThe Mammoth Book Of The World’s Greatest Chess GamesQueen’s Gambit Declinedで意見が異なるためなのかはこの場合よくわからない。
 また、h6に関してもう一つ面白いコメントがあった。このゲームのようにクイーンサイドのポーンを突いていくプランの場合にはh6は有効だが、dxc4、Nd5として駒交換をしようというプランの場合にはh6を入れるとNd5でBg3とされてしまうからよくないとのこと。色々勉強になるけど混乱してくる気もしないでもない。

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