問題集と言えば、この局面でタクティクスを見つけましょうという形式のものが多いかと思います。ポジショナルな手を見つけましょうという問題集もありますが、今回紹介する本のようにランダムな問題を並べている問題集は珍しいと思います。
この記事で紹介する本:Practical Chess Exercises
Practical Chess Exercisesは2007年に出版された問題集で、発売当初から話題になった本で、私もそのために購入した覚えがあります。著者のRay Chengは”Secret of modern chess strategy“で有名なJohn Watsonの生徒ですが、無名なアマチュアプレイヤーです。
では、なぜこの本が話題になったかと言えば、問題集の形式に特徴があったからです。この本に出てくる問題はシンプルなタクティクスを見つけるだけの問題もありますが、一見決まりそうだけど実は決まらないタクティクス、ポジショナルに求められる手を見つけるなど、解決すべき問題が多岐にわたっており、かつその問題の趣旨が明記されていません。つまり、実戦で手を見つけるような作業を求められます。
正直に言えば、私はこの本が好きではなく、全600問をこなすことなく途中で投げ出してしまいました。というのも、問題形式の関係上、解いていてどうもスカッとした気持ちになれず、苦痛だったからです。
そんな私ですが現在(2023年)、再びこの本を手に取っています。解いていて苦痛に感じる部分はやはりあるのですが、500問近くまで解き進めました。
再びこの本に取り組み始めたのは、GM Noël StuderによるNext Level Trainingの中で、calculationのトレーニング材料としてこの本が薦められていたからです。
この本に興味を持った人へのアドバイス
誰もが私と同じ感想を持つかどうかは分からないのですが、この本を解いていてストレスを感じることもあるかもしれません。というのも、通常のタクティクスの問題集であれば簡単に解ける問題を見逃すことがありうるからです。この本はタクティクスの本ではないので、様々可能性について検討しながら問題を解くために見逃しも多くなりストレスを感じます。
ですが、それがまさにこの本の狙いでもあります。タクティクスの問題では見えても実戦では見えないという経験をしたことが誰しもあるかと思います。それも、実戦ではタクティクス以外の様々な可能性を考慮する必要があるからでしょう。
Practical Chess Exercisesは全体的に問題の難易度はそれほど高くないはずなのですが、その形式のため、時間がかかりトレーニングとしての負荷が思ったより高いと感じるかもしれません。それがストレスになりがちなのだと思いますが、始める前から「そんなもんだ」と思っておけば、続けられるなと私の経験上思いました。
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