久々に自戦記 enju – P, M チーム選手権より

久々に大会に参加したので自戦記を書いてみようと思います。


 棋譜はチーム選手権のkurofune Knights・MississチームのP, M氏との対戦です。黒船チームということで外国人の方です。レーティングは1896ということでほぼ互角。勝ちたい対戦です。


enju(1898) – P, M(1896)


1. d4 d5 2. c4 e6 3. Nc3 c6 4. e4

marshall


Nf6を遅らせてくる黒のセットアップに対してe4と突くこの変化は「もう一つの」Marshall Gambitです。もう一つという言い方をしたのは言うまでもなくルイロペスにもMarshall Gambitと呼ばれる有名な変化があるからです。
4 … dxe4 5. Nxe4 Bb4+ 6. Bd2 Qxd4 7. Bxb4 Qxe4+
と、ここまでで白が1ポーンダウン。つまりギャンビットしています。
8. Qe2!?
自分の白番のレパートリーはまだまだ不完全です。比較的マイナーな変化は把握しきれていません。このMarshall Gambitもその一つ。白はギャンビットしているわけですからクイーン交換を簡単に許すのは間違いでしょう。
8 … Qxe2+
ほぼノータイムで相手が取ってきたのを見て自分の間違いに気付く。
9. Bxe2

enju-P.M1


さて、このポジション、白のミスから既にイコーライズしています。ただ、ここから黒がどのように指せばいいのかはそれほど簡単ではありません。白からのプレッシャーをかわしつつ、ピースの展開を終えねばなりません。本譜での黒のプランが僕はあまり気に入りません。
9 … Ne7 10. Nf3 Nd7


enju-p2


c5としてa3、f8のダイアゴナルを閉じようというプランです。しかし、それならばNe7として最初にダイアゴナルを閉じた手にあまり意味がないように感じる。僕ならばNf6としてキングをe7に置きたい。
11. O-O-O
ここで白の13手目を思いつき、白が良いのではないかと思い出す。
11. … c5 12.Bc3 O-O
13. Ne5!


enju-p3


 決して派手な手ではないが黒は対処に困る。実際ここでP,M氏は長考する。d7のナイトにあたっているので対処をしなければならないが色々な手が考えられる。
まず始めに、ルークで守る手は問題外。Bf3から黒に手がなくなる。そこでナイトを動かす手を考えることになるがこれもいくつか手がある。Nf6、Nxe5、Nb6、Nb8。
この中でおそらくまず始めにNf6が候補から外れるだろう。f6としてナイトを追っ払うことが出来なくなる。
となると、残りはNxe5、Nb6、Nb8。この中でNxe5が素人的には消えるのではないだろうか。Bxe5と白が取り返した後Bd6という単純なスレットがある。簡単に防げるのだが守勢に回っている時にはこのような単純な脅威を過大評価してしまう傾向が自分の経験上ある。すると残りはNb6、Nb8。おそらく黒は15手目まで読んでNb8でいけると思ったに違いない。黒の読み抜けといってしまえばそれまでだが守勢に回ってパッシブな変化を選んでしまったことがミスの要因だろう。Nxe5またはNb6の方が正着だった。
13. … Nb8 14. Bf3 f6 15. Nd3 Na6


enju-p4


黒はこの手まで読んでNb8を指したと思われる。
c5のポーンは守っている。後はRb8、b6とし、ピースを交換して黒が1ポーンアップで優勢だろう。ただし、本当にc5のポーンが守られていれば、、、
16. Nxc5!
実は簡単なTacticsでこのポーンが取れてしまう。黒に取って不運なことにこの局面で白がNxc5を見つけるのはさほど難しくないが、黒がNb8を指した時点でこの手を予見するのはそれほど簡単ではない。このような状況は守勢側に生じやすい。守る側にミスが出やすいといわれるゆえんだろう。
16. … Nxc5 17. Bb4 Nc6 18 Bxc5 Re8


enju-p5


さて、1ポーンを取り返したとはいえまだまだ勝負は終わっていません。が、少し疲れたので次回につづく。

コメント

  1. yuki より:

    解説が分かりやすくて勉強になりました。
    続きを楽しみにしています。

  2. enju より:

    東大チェスクラブのyukiさんですか?
    続きは日曜ぐらいに更新予定です。

  3. yuki より:

    そうです~。
    続きも拝見しました。面白かったです♪

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